プッシュ通知は、スマートフォンやデスクトップ端末に、最新の情報やアラートをリアルタイムで送信することができる通知機能です。ユーザーがアプリケーションを使用していない場合でも、デバイス上に通知メッセージを表示して、ユーザーに情報を伝えることができます。
本記事では、プッシュ通知の送信側となるアプリケーション事業者向けに、プッシュ通知の基本的な仕組みやメリット、効果的にプッシュ通知を活用するためのポイントなどについて解説しています。
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【目次】
まず、プッシュ通知は大きく分けて、「リモートプッシュ通知」と「ローカルプッシュ通知」があることを覚えておきましょう。
リモートプッシュ通知
アプリケーションの事業者側からリモートで送信されるメッセージやアラートを指します。リモートプッシュ通知を受け取るには、ユーザーの端末にアプリケーションがインストールされた状態で、通知の設定がONになっている必要があります。
ローカルプッシュ通知
ユーザーの端末にインストールされたアプリケーション自体から生成・送信されるメッセージやアラートを指します。例えば、カレンダーアプリに設定したスケジュール通知などが該当します。ユーザーの端末がオフラインでも通知は届きます。
本記事で解説するプッシュ通知は、主にリモートプッシュ通知のことになります。
アプリケーション事業者は、いつでもプッシュ通知を送信することができるため、重要な情報や、お得な情報をユーザーに迅速に伝えるための重要なコミュニケーションチャネルとして多く活用されています。
リモートプッシュ通知には、主に以下の4つの種類が存在します。アプリケーションベースで生成されるものと、Webブラウザベースで生成されるものがあります。
スマートフォン端末にインストールされたアプリケーションを介して生成されるプッシュ通知です。プッシュ通知は、ロック画面や通知センターに表示されます。
デスクトップ端末にインストールされたアプリケーションを介して生成されるプッシュ通知です。プッシュ通知は、画面の右上や右下、通知センターに表示されます。
スマートウォッチなどのウェアラブル端末にインストールされたアプリを介して生成されるプッシュ通知です。プッシュ通知は、スマートフォン端末の通知と同期して表示されます。
Webプッシュは、アプリケーションが生成するプッシュ通知とは異なり、Webブラウザを介して生成されるプッシュ通知のことです。
ユーザーがWebサイトにアクセスしていない状態でも、Webブラウザがバックグラウンドで動作していれば、デスクトップやモバイル端末の画面上でプッシュ通知を受け取ることができます。
ただし、Webプッシュ通知を受け取るには、ユーザーがWebサイトに訪問した際に、通知を受け取ることへの同意が必要になります。また、Webプッシュ通知の対応ブラウザ(Chrome、Firefox、Opera、Safari)である必要があります。
Webプッシュ通知は、WebサイトとWebブラウザの機能を利用して実現されるため、特定のデバイスやインストールアプリに依存せずに利用することができます。Webプッシュ通知を利用するには、WebサイトへのJavaScriptコードの埋め込みが必要になります。
プッシュ通知は、いくつかの要素で構成されています。一般的には、アイコン、タイトル、本文テキスト、タイムスタンプ、画像、アクションなどで構成されています。プッシュ通知の見え方については、OSやデバイスの種類によって異なります。
1. アイコン
通知バナーの左側や上部などに小さく表示されるアイコン。通知の発信元を伝えるための重要な役割を果たします。
2. タイトル
通知の発信元や主題を表すタイトルテキスト。太字1行表示で全角20文字程度の文字制限あり。制限はデバイスやOSの仕様に依存します。
3. 本文テキスト
通知の詳細を伝えるための本文テキスト。100文字程度の文字制限あり。制限を超えるテキストは省略されます。制限はデバイスやOSの仕様に依存します。
4. タイムスタンプ
プッシュ通知を受信した時刻。
5. 画像
プッシュ通知内に表示される画像。画像はデバイスやOSが画像表示をサポートしている場合にのみ表示されます。画像の表示サイズや表示場所については、デバイスやOSの仕様に依存します。
6. アクション
プッシュ通知をユーザーがタップ(クリック)した際に実行するアクション。例えば、アプリを起動したり、特定のURLに遷移させるなどのアクションがあります。
プッシュ通知を送信する仕組みは、デバイスやOSなどによって異なります。具体的には、iOSアプリではAPNs(Apple Push Notification Server)、AndroidアプリではFCM(Firebase Cloud Messaging)というプッシュ通知の送信プラットフォームが使用されます。
ユーザーがデバイスにアプリケーションをインストールし通知を許可すると、プッシュ通知を送信するための宛先情報として、デバイス識別用ID(トークン)が、プッシュ通知の送信プラットフォームに登録されます。以降、デバイスIDを取得したユーザーに対してプッシュ通知を送信することができます。
Webプッシュ通知の場合は、ブラウザ経由でプッシュ通知を送信するためのAPI(Web Notifications)が使用されます。Webサイト閲覧中にユーザーが通知を許可すると、宛先情報としてブラウザ固有の識別IDを取得して、プッシュ通知の配信サーバーに登録されます。識別IDはCookie情報ではなく、Webプッシュ通知固有の情報となります。以降、識別IDを取得したユーザーに対してWebプッシュ通知を送信することができます。
iOSアプリ、Androidアプリ、Webプッシュ、いづれもプッシュ通知を送信するには、事前にオプトインのメッセージを表示してユーザーの許可を得る必要があります。
プッシュ通知のオプトインメッセージは、一般的にアプリの初回起動時や、Webサイトの初回訪問時に表示されます。多くの許可を獲得するためには、どのような通知が届くのかが想像できるようなアプリやサービスの設計が重要です。
また、「とりあえず許可したもののすぐにオプトアウト…」という場合も少なくないため、ウェルカムメッセージの送信や、ユーザーにとって価値のある情報を送信し続けることも重要になります。一度オプトアウトされたプッシュ通知を再びオプトインしてもらうのは容易なことではありません。
※Androidについては、Android13以降に事前にユーザーから許可を取ることが義務化されました。それ以前は、アプリをインストールすると自動的にプッシュ通知が許可されていました。
プッシュ通知がアプリケーション事業者、Webサイト運営者にとって、どのようなメリットとデメリットがあるかについて見ていきましょう。
プッシュ通知のメッセージは、できるだけ少ない文字数で内容が伝わるような、明確で簡潔なテキストであることが重要です。伝わりにくい表現や、だらだらと長い文章では、ユーザーの興味を引くことはできません。
先述した通り、プッシュ通知のタイトルや本文には文字制限がありますが、制限MAXの文字数を使うことはあまりお勧めはできません。端末によってテキストが省略(…)される場合もありますし、小さな通知枠は長い文章を読むのに適しているとは言えません。
メールマガジンの件名と同じように、ユーザーの興味を引いて、通知をタップ(クリック)してもらうことを目標にした、通知メッセージの作成テクニックやセンスを磨きましょう。絵文字をアクセントに使うことも効果的です。
プッシュ通知を送信するタイミングは、ユーザーの行動パターンや心理を考慮しながら、戦略的に設定するようにしましょう。タイミングよくプッシュ通知が届けば、ユーザーが通知に反応する可能性が高くなります。
逆に通知のタイミングが悪いと、他の通知に埋もれてしまったり、通知を無視されたり、ユーザーを怒らせて通知をオプトアウトされてしまう可能性もあります。
最適な通知のタイミングについては、ユーザー層、アプリの種類、通知の種類などによっても異なりますが、例えば以下のようなポイントを考慮してみると良いでしょう。
プッシュ通知の送信頻度は、ユーザー層、アプリの種類、通知の種類などを考慮しながら、最適な頻度を検討する必要があります。通知は多過ぎても少な過ぎても良くありません。
例えば、天気予報アプリであれば、「今日の天気」「明日の予報」「台風情報」など、毎日複数回の通知が届いても、通知を負担に感じるユーザーは少ないと思いますが、通販ショップアプリから毎日のようにセールス通知が何回も届いたら、通知を負担に感じるユーザーは多くなり、通知のオプトアウト率も高くなる可能性があります。
逆に、通知の頻度が少な過ぎると、ユーザーのアプリ離れや、ブランドとの関わりが低下し、アプリの削除や売上の低下といったリスクが高くなる可能性があります。
リッチプッシュ通知とは、プッシュ通知内に画像、動画、音声、アプリ操作、CTAなどの要素を追加したプッシュ通知のことです。通常のプッシュ通知に比べて、インタラクティブ性が高くユーザーの注目を引きやすくなります。
リッチプッシュ通知は訴求力が高いというメリットがありますが、リッチコンテンツの表示は、ユーザーのOSやデバイスの仕様に依存します。特にiOSとAndroidで大きく仕様が異なる点には注意が必要です。
今後、リッチプッシュ通知を利用する企業は増えていくことが予測されますが、ユーザーのデバイス環境や、自社ツールの機能を考慮しながら、最適なリッチプッシュ通知の活用方法を検討していく必要があります。
すべてのユーザーに同じ通知を送信するのではなく、可能な限りユーザーをあらゆる属性でセグメンテーションし、ユーザーごとにパーソナライズされたプッシュ通知を送信することが重要です。セグメント&パーソナライズされたプッシュ通知は、ユーザーによって価値の高い情報となり、通知への反応率やCV率を向上させることができます。
ただし、プッシュ通知でセグメント&パーソナライズを行うためには、ユーザーを識別するためのデータ管理やターゲッティングを行うためのシステムを別途用意する必要があります。
すべてのモバイルOSは、端末の位置情報を取得するGPS機能を持っています。ユーザーが位置情報の共有を許可している場合、ユーザーの位置情報や行動データをもとに、よりタイムリーで適切なプッシュ通知を送信することができます。
例えば、グルメアプリであれば、ランチタイム時の位置情報をもとに、半径1km圏内の飲食店のお得情報を通知することができます。通販ショップアプリであれば、寒い地域の人には厚手の服を、暖かい地域の人には薄手の服の割引クーポンコードを送ることができます。
プッシュ通知の運用を開始したら、プッシュ通知施策が上手く行っているかどうかの効果検証を実施しましょう。検証結果をもとにプッシュ通知を細かく最適化することで、より良い結果を得るための方法を導き出すことができます。
以下、プッシュ通知の効果を検証を行う際に、注目すべき指標をいくつか挙げておきます。
プッシュ通知をマーケティング施策の一環として組み込み、他のチャネルと組み合わせることによって、ユーザーに最適なタイミングでアプローチを行い、顧客エンゲージメントやコンバージョンを高めることができます。
今回ご紹介した内容を参考に、自社にとって効果的なプッシュ通知戦略の策定や、適切な通知メッセージの作成方法などについて、一度検討してみると良いでしょう。
現在スマホアプリを運用していない事業者様についても、今後アプリの導入や、Webプッシュ通知の導入を検討する可能性は十分にあると思いますので、今回ご紹介したプッシュ通知の基礎はぜひ押さえておいてください。
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