今日では、多くの企業が豊富なデータを持っています。しかし重要なのはそれらのデータを活用して目的を達成する「手段」つまりマーケティング分析です。短期の顧客獲得や長期の戦略にどのように活かすべきか。今回は、実用的なインサイトを得るためのマーケティング分析について、そして基本的な手法とプラクティスについて説明します。皆様の日々の業務のお役に立てば幸いです。
【目次】
マーケティング分析とは、自社データを収集、管理、運用し、マーケティング担当者がそれらを最適化して必要な情報を社内外に提供することです。
マーケティング分析には、施策の成果や価値を評価するために使用するテクニックやプロセスも含まれます。そのため、マーケティング分析ではさまざまな指標を用いて成果を測定します。具体的には、すべての情報ソースやチャネルからデータを収集して結合し、マーケティング活動がどのように機能しているかを分析し、改善点を特定するといった流れです。
むしろマーケティング分析なしに、マーケティング・キャンペーンの有効性と投資収益率(ROI)を判断するのは困難といえます。
個々の指標はマーケティング指標といわれ、マーケティング分析とは異なります。マーケティング指標はデータそのものを参照する一方、マーケティング分析はデータを文脈で捉えてマーケティング活動が収益にどのように変換されたのかを示します。
新しいマーケティング手法が増えるに従い、そうした手法をサポートするための新たなテクノロジーも数多く登場しています。それらの新しいテクノロジーはそれぞれ独立しているため、切断されたデータ環境が大量に発生してしまいます。
こうした切断された環境をもとに、個々のチャネルからのデータに基づいて意思決定を行うことは、前述の通りマーケティング分析とはいえません。マーケティング分析とは全体を捉える必要があるためです。ソーシャルメディアのデータだけでもダメですし、自社のウェブサイトのデータだけでも不十分です。もちろんメールマーケティングの結果だけ見ているだけでも駄目です。
マーケティング分析が重要なのは、こうして日々蓄積され続ける切断された情報を統合して一定期間における全チャネルの全施策を考慮する行為だからです。全体をとらえることで、適切な意思決定と効果的で効率的なプログラム実行がおこなえるようになります。
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ここからは具体的に、主なマーケティング分析があるのかを説明します。ここでは代表的な6つの分析をご紹介します。
マーケティング分析の基本は、マーケティング・キャンペーンが自社に与える影響を理解できるツールを利用することです。ウェブ広告などのキャンペーンに用いられる一般的な指標(クリック率、コンバージョン率、ROIなど)を提供するくらいシンプルなものから、収益を最大化するための最適なマーケティング戦略を考え出すためのマーケット・ミックス・モデルの開発のような複雑な分析まで、さまざまです。
マーケティング・パフォーマンス分析では、キャンペーンのパフォーマンスの全体を知ることができますが、あるキャンペーンに反応する特定のユーザーがいるかなどを明らかにするためには、誰かがそういった大量のデータを調査する必要があります。マーケティング・アナリストと呼ばれる業種の人は、マーケティング担当者が価値ある情報を見つけられるように、データ・マイニングし、モデル化します。
顧客の属性や行動を深く掘り下げることは、誰が成約する可能性が高いかを理解するのに役立ちます。こういった情報は、マーケティング担当者がターゲット層を導く際に使用されます。前述のデータ・マイニングとこうした統計モデリングを通じて、マーケティング・アナリストは顧客とその成功要因を深く理解することができます。
自身の顧客がどのような人物かを理解すれば、同じような人々を見つけることができます。たしかにそれは理にかなっていますが、それよりも重要なポテンシャルを秘めているのは、顧客に該当しない人たち、つまりノン・カスタマーでもあります。
ノン・カスタマー分析とは、現在は自身の顧客ではない人々が自社製品やサービス、またはブランドについてどう思うかを理解するための分析です。誰が自社サービスを購入していないか、その理由は何かを特定することによって、そういった層を取り込めるような戦略を考えられるようになり、市場を拡大できます。ノン・カスタマーの対象となる人たちは、なぜみなさんの製品やサービスを購入していないのでしょうか。それを知るためには、インタビュー、アンケートなどを行なって、直接訪ねることが重要です。
ソーシャルメディアの力を利用して、自社の顧客ではない人々からフィードバックを得るのも非常に簡単な方法です。
顧客がみなさんの製品やサービスにどれくらいの金額を支払うかを知ることも重要です。価格分析は、その問いに対する正確な解をもたらすプロセスです。
価格分析とは、自社のサービスが参入する市場セグメントにおけるプライス・センシティビティ(価格に対する顧客の反応)を分析するもので、競争の激しい市場で特に有用です。
価格分析には、データ・マイニングや予測モデル、そしてアルゴリズムの開発も必要なケースがあります。価格分析を用いて、既存顧客の収益アップを測る場合、対象の顧客に対して、価格が上がる背景として、サービス価値向上の要因などが説明可能であることも当然重要です。
ブランド分析は、競合他社と比較した際のみなさんのサービスのブランドの強みを分析します。ブランドとは、ロゴや会社の方針以上のとても重要なものであることはご存知だと思います。この記事でも当然全ては語れませんが、要約するならば、ブランドとは、皆さんが提供するサービスや製品がどう見られ、どう感じられており、そうしたものが顧客に何を伝えているかということです。
意思決定や戦略の方向性に影響を与えるため、顧客がブランドをどのように認識しているかを実際に理解することはとても重要です。カスタマーサービスにおけるやりとり、営業担当者の会話の中、ブログ、第三者のレビューサイト、ソーシャルメディアなど、既存顧客や潜在的な顧客が皆さんについて、そして皆さんのブランドについて話し合っている場所であれば、分析するためのデータはそこにあるといえます。
上記の通り、様々なマーケティング分析が存在しますが、実践的で明日からすぐにでも実行できる4つのベスト・プラクティスをご紹介します。
Googleアナリティクスは無料のマーケティング分析ツールです。Fortune 500企業の約67%がGoogle アナリティクスを使用してWebサイトの各種数値を分析しています。
Googleアナリティクスと連携を行えるサービス、プラットフォームも数多く存在するため、一緒に活用して最も効果的なコンバージョン・チャネルが何かを調べたり、Google広告などの費用対効果の分析を行ったり、プラットフォームをテストすることで、最大限のROIを確保するための新たなマーケティング戦略や、現在のキャンペーンを最適化するために大いに役立ちます。
メールマガジン、ニュースレターなど顧客にメールを送ることで接触を測るメールマーケティングは、顧客の定着を促進するための優れた方法です。わたしたちが提供するWiLL Mailのようなメールマーケティングプラットフォームでは、メール配信の結果の分析を容易に行えるだけでなく、自動配信による業務のオートメーション化もできるため、ROIをより高めることができます。
スタートアップの参考書ともいうべきリーン・シリーズの分析版『リーン・アナリティクス』では、マーケティング担当者は、自社ビジネスにとって最も意味のある指標を見つけ出し、それをデジタルマーケティングの中核にすべきだと書かれています。
「意味のある指標」とは、具体的には「比較できる指標」、「わかりやすい指標」、「比較や割合の指標」、そして「行動を変える指標」を指します。そして「共感」「定着」「拡散」「収益」「拡大」といったビジネスのステージ別に、重要な指標をひとつだけ選んでコア・フォーカスすべきだと主張しています。
この指標はビジネスモデルによっても異なります。 マーケティング分析は、断片化された指標を文脈で捉えるものですが指標ごとにどういった役割があり、一番重要なものが何かを定義することも同様に重要ということです。
ターゲットとなるバイヤー・ペルソナを特定することも、マーケティング分析を行うにあたっての重要なポイントです。顧客ニーズ、好み、そして悩みについて豊富な知識を持っていれば、確実なマーケティング戦略を考えつくことができるためです。バイヤー・ペルソナを特定するには以下のようなデータが必要になります。
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こういった洞察が顧客理解を深め、顧客とブランドの結びつきを強化するためのマーケティング戦略を考え出すことにも繋がります。
マーケティング分析の概要をご紹介しました。日々新しいテクノロジーによってデータは取得できるようになりますが、それを活かすためには、まずひとつひとうの指標の意味を理解し、どう繋げれば短期収益に貢献し、長期戦略に役立つかを考える必要があります。
特にスタートアップの企業にとっては、リーン・アナリティクスで紹介されているように、段階ごとに追うべき指標を変えていくといったアプローチも重要です。今後もさらに自身の学びのためにも深掘りしてマーケティング分析についてご紹介していきます。
わたしたちが提供するメール配信システム『WiLL Mail』も、グーグル・アナリティクス連携をはじめ豊富な分析機能を標準搭載しています。ご興味があればぜひお声がけくだいね。 |
最後までお読みいただきありがとうございました。