「皆さまの企業や部署では、どのようなKPIを設定していますか?」企業でマネージメントやマーケティングに携わっている方なら、KPIという言葉を聞いたことがあるはずです。
しかしながら、KPIの重要性は理解していても、企業目標を達成するために、最適なKPIを設定して、業務内でKPIを活用し、結果を出すことは容易なことではありません。もし間違ったKPIを設定してしまったら、目標から外れた数値を測定することになってしまいます。
本記事では、皆さまの企業や部署で、KPIが本当に役に立つように、KPIとは何を意味しているのかを解説し、正しい設定方法やコツなどもご紹介します。これからKPIを設定しようと考えている方も、ぜひご一読ください。
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KPI(Key Performance Indicator)とは、日本語にすると「重要業績評価指標」のことで、ある企業が定めた目標を達成するために、従業員、プロジェクト、部署などに課せられる成果目標がどの程度進捗したかを測定するための指標です。
簡単に言うと、ビジネスが軌道に乗っているのか、それとも停滞しているのかの途中経過を把握するための手段です。例えば、営業部門であれば、訪問件数や受注率、マーケティング部門であれば、広告のコンバージョン数や、SNSのフォロワー数など、定量的に測定ができるものをKPIとして設定します。
KPIは、企業が目標を達成するために用いられる指標ですが、それ以外にも様々な利点があります。
適切なKPIを設定するためには、まずKGIとKFSについて理解しておく必要があります。似たような名前で混同しそうですが、KGI、KFS、KPIの3つは密接な関係にあります。それぞれの違いと関係をしっかり頭に入れておきましょう。
KGI(Key Goal Indicator)とは、日本語にすると「重要目標達成指標」のことで、前述した「ある企業が定めた目標」のことで、最終的なゴールのことを指します。KGIを達成するためにKPIを設定するので、まずは、企業や部署レベルが掲げている大きな目標が何であるかをしっかり理解していなければ、適切なKPIを設定することできません。
KGIも、KPIと同様に定量的な目標である必要があります。例えば、「市場シェアNo1」「売上高倍増」のような定性的な目標ではなく、「市場シェア50%獲得」、「売上高100億円」のような定量的な数値目標の設定が必要です。
KFS(Key Factor for Success)とは、日本語にすると「重要成功要因」のことで、KGIを達成するために必要とされる要因のことを指します。KFSを数値目標に落とし込んだものがKPIです。
例えば、マーケティング部門において、「新しいリードの獲得」という要因をKFSに設定した場合、KPIは、「オンラインセミナーの開催:月4回、参加者:100名/1回」などの具体的な数値目標を設定します。
※KFSの同義語で、CSF(Critical Success Factor)という言葉で表現されることもあります。
KPIが重要な理由は、企業のパフォーマンスを向上させることができるからです。具体的には以下のような理由があります。
KPIを設定することで、目標を可視化して関係者内で共有することが容易になります。具体的な数値目標としてKPIを掲げることで、部署内や従業員のチームワークやモチベーションが上がり、業務の効率化や生産性の向上につながります。
もちろん、部署や職種によって目指すべき目標(KPI)は異なりますが、最終的なゴール(KGI)が同じであることを共有しておくことによって、企業全体の団結力を高めることができます。
KPIは、マネージメント職の人間にとって、部署や従業員ごとの目標達成率を管理することを容易にします。部署レベルのKPIに沿って、各従業員ごとのKPI設定します。もし、目標に達していない場合には、早急に問題点を調査して、適切な対応を行うことができます。
マネージャーは、パフォーマンスが低い従業員に対して、問題点と改善方法を示し、意欲と能力を最大限に引き出すことが仕事です。KPIに沿って具体的な数字を示しながら、適切な指揮を行うことができれば、部下とのスムーズな意思疎通を行うことが可能になります。
KPIは、従業員を評価する際の基準としても利用されます。各従業員に個人レベルで設定されたKPIは、部署のKPIにどれだけ貢献したかを、定量的な数値として測定できるため、そのまま評価基準として利用することができます。
評価基準の客観性と公平性が保たれるため、従業員を公平に評価することができます。従業員からの不平不満を減らすことにもつながります。
KPIは、主に以下の4つのレベルごとに設定されます。
会社レベルで設定されるKPIは、ビジネスの健全性や成長率などに焦点を当てて設定されます。例えば、財務状況、社会貢献度、従業員の定着率などが挙げらます。会社レベルのKPIは、四半期ごとなどのタイミングで成果を測定します。
部署レベルで設定されるKPIは、それぞれの部署ごとの成果目標に沿って設定されます。部署ごとのKPI設定例については後ほどご紹介します。部署レベルのKPIは、四半期ごとなどのタイミングで成果を測定します。
プロジェクトレベルで設定されるKPIは、通常、会社レベルや部署レベルのKPIよりも具体的な内容の目標が設定されます。プロジェクトレベルのKPIは、プロジェクトが始まる前に設定し、プロジェクトの中間と終了後に成果を測定します。
個人レベルで設定されるKPIは、部署やプロジェクトレベルで設定したKPIを、関係する従業員ごとに割り当てて設定されます。個人レベルのKPIは、部署のマネージャーや、プロジェクトリーダーが常に測定・管理を行い、問題点があればすぐに改善策を検討します。
適切なKPIを設定するためには、まずはKGIとKFSを正しく設定する必要があります。以下のステップを踏んで、KPIを設定しましょう。
まずは、企業や部署レベルの大きな目標となるKGIを設定します。KGIを設定するには、企業の上層部も交えて最終的なゴールをすり合わせる必要があります。設定したKGIによって、以降のステップであるKFSとKPIの設定内容が決まるため、KGIの設定は非常に重要です。
次に、設定したKGIを達成するために必要とされる要因を洗い出し、KFSとして設定します。市場規模、顧客ニーズ、商品価値、競合他社、内部環境など様々な要因を考慮しながら、KFSの候補をいつくか挙げて、その中から最終的なKFSを決定します。
KFSは、1つである必要はありませんが、多く設定しすぎると管理が複雑になったり、何が重要かが曖昧になりやすいため、KGIを達成するために優先順位の高いものをいくつ選んで設定しましょう。
KFS≒KPIであるため、KFSも時間を掛けて綿密に検討する必要があります。
KFSを達成するための施策に、具体的な数値目標を設定すればKPIは完成です。設定したKPIが適切であるかを検証する方法として、SMARTモデルというKPIのフレームワークと、KPIツリーをご紹介しておきます。
SMARTは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Attainable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限)の頭文字をとったもので、設定したKPIが適切かどうかを判断するためのフレームワークとしてよく使用されます。
設定したKPIがこれら全てに当てはまるかどうかを検証し、要件を満たしていないものや、曖昧なものがあれば内容を見直して、より良いKPIにブラッシュアップしましょう。
KPIツリーとは、KGI、KFS、KPIの関係を視覚的に表した、ツリー構造のマッピング図のことです。KPIツリーを作成しておくことで、全体像を把握しやすく、設定したKPIの問題点や、さらに検討が必要な箇所を特定するのに役立ちます。
適切にKPIを設定するためのポイントをいくつかご紹介します。
通常、KPIは複数設定するものですが、設定する数は実現可能な範囲に留めることがポイントです。KPIの設定数が多すぎると管理が複雑になり実現性が低下します。KPIを割り振る従業員の数や能力を考慮しながら、KPIの設定数を決定しましょう。
KPIの計画だけで終わりにしないためには、各KPIごとに進捗を測定して報告を行う責任者を明確にしておきましょう。KPIの責任者には、各従業員に割り振られたKPIの進捗を測定・分析し、問題があれば軌道修正を行うための各種権限を与えます。
KPIを達成するまでの期間は、あらかじめ設定しておきましょう。月次、四半期ごとなど、設定したKGIやKPIの内容に合わせて期限を設定します。いつまでに達成すべき目標なのかを全員で共有することで、モチベーションのアップにつながります。
せっかくKPIを設定しても、実際の業務に活用されなければ意味がありません。ここからは、設定したKPIを運用するためのポイントをご紹介します。
まず、設定したKPIに対する認識を、社内や部署内で統一するために、KPIの定義を明確にします。KPIの測定内容、測定方法、責任者、期限などが共通認識として統一されていないと、正しくKPIを運用することができません。具体的な内容が記された資料としてまとめ、全員で共有できるように準備をしてください。
従業員の評価基準にKPIの達成度を取り入れる場合は、どのように評価に反映するかについてもあらかじめ定義しておきましょう。
KPIは、関係者に伝わっていなければ、何の意味もありません。準備したKPIの資料などを基に、関係者全員にKPIの内容を共有します。KPIの必要性、測定内容、測定期間などを丁寧に説明することが重要です。
KPIの全体像を確認したら、次に、従業員ごとに割り振ったKPIを共有します。従業員には自分のKPIだけでなく、最終的なゴール(KGI)から、他の従業員のKPIまでを意識してもらうことが大切です。全体の中の自分の役割を明確してもらうことで、チームの団結力やモチベーションを高めることができます。
また、途中でKPIの内容に変更が生じた場合についても、速やかに全員に共有しましょう。
KPIの進捗状況を管理する責任者は、定期的にKPIを測定して、関係者全員に報告を行います。KPIの測定は、1週間ごと、1ヶ月ごとなど、設定したKPIの内容に応じて、適切な周期で行いましょう。前述したKPIの期限(月次、四半期ごとなどの期限)は、達成までの期限ですので、勘違いしないように注意してください。当たり前のことですが、最後に1回だけ測定しただけでは、途中で起動修正を行うことができません。
KPIの進捗状況を管理する方法としては、従業員の規模にもよりますが、数値計算やグラフ表示が可能な表計算ソフトや、SFAなどの業務管理ツールなどを活用すると良いでしょう。なるべく入力の負担が少なく、目標の達成度の分析と関係者への報告がしやすい、実用的なツールを選ぶのがポイントです。
KPIの測定を行なった結果、進捗状況が思わしくない場合、主に3つの原因が考えれます。1つめは、従業員個人に問題がある場合です。この場合は、測定結果を基に、個別にミーティングを行ない改善策を伝えます。必要であれば数値目標を調整します。
2つめは、設定したKPIそのものが、最終的な目標からズレている場合です。この場合、KPI設定の見直しが必要です。KPIはあくまでもKGIを達成するための中間目標であり、問題点を見つけるための指標でもあります。一向に進捗しないような間違ったKPIを設定していることに気が付いた場合は、速やかに起動修正を行いましょう。
3つめは、顧客ニーズの変化、競合他社の動向、内部環境の変化などによって、設定したKPIに変更の必要性が生じる場合です。一度設定したKPIにこだわり過ぎず、変化に合わせて、KPIに変更を加える柔軟さも必要です。
最後に、部署や職種別によく設定されるKFSをいくつかご紹介しておきます。KFSの洗い出しや、KPIの数値目標を設定する際の参考にしてみてください。
部署・職種 | KFS設定項目例 |
---|---|
経営・財務 | ・自己資本利益率 ・売上高純利益率 ・キャッシュフロー比率 ・有利子負債比率 ・固定資産回転率 ・株価 など |
人事 | ・求人応募者数 ・採用人数 ・従業員満足度 ・定年退職者率 ・平均残業時間 ・従業員離職率 ・有給消化率 など |
経理 | ・経費削減率 ・入力ミス発生率 ・精算平均処理日数 ・経費対予算比率 ・現金精算比率 ・業務自動化比率 など |
営業 | ・商談件数 ・訪問件数 ・受注件数 ・平均販売(受注)額 ・新規顧客獲得数 ・クレーム数 ・解約件数 など |
マーケティング | ・リード獲得コスト ・リードコンバージョン率 ・SQL(営業適格リード)の獲得率 ・マーケティング投資利益率 ・メールマーケティングCV数 ・SNSフォロワー数 ・資料ダウンロード数 ・WEBサイトユニークユーザー数 など |
製造業 | ・商品生産量 ・商品原価率 ・不良返品数 ・商品廃棄率 ・納期遅延数 ・在庫回転数 ・棚卸金額 など |
カスタマーサービス | ・サポート対応件数 ・サポート平均処理時間 ・サポート通話待ち時間 など |
店舗 | ・来店者数 ・平均購入単価 ・新規会員獲得数 ・リピート購入数 ・店舗回転率 ・商品原価率 ・棚卸資産回転率 など |
いかがでしたでしょうか。KPIの意味、設定方法、運用方法、部署別の参考例などを解説して来ました。皆さまのビジネスで設定すべきKPIがなんとなく見えて来ましたか?
記事内で何度かお伝えしたように、KPIは企業の最終目標(KGI)に近づくための指標でなくてはなりません。本記事でご紹介した内容を参考に、ビジネスを成功に導くための適切なKPIを設定されることを願っています。
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