ほとんどの営業担当者が、リード(見込み顧客)に対して何かしらの優先順位を付けて営業活動をしていると思います。しかしながら、その優先順位付けを適切に行えているかどうかによって、営業の成約率に大きな差が生じることになります。
そこで本記事では、集めたリードの中から、営業担当者が追求する価値のあるリードと、そうでないリードを適切に選別するためのプロセス、リードクオリフィケーションについてわかりやすく解説します。
メールマーケティングでリードを顧客に育成しよう! |
リードクオリフィケーションとは、実際に購入や契約に至る可能性の高いリードを見極める作業のことです。例えば集めたリードの中から、「今すぐ購入する可能性が高いリード」、「そのうち購入する可能性があるリード」、「購入する可能性が低いリード」のグループにリードを選別する作業です。
リードクオリフィケーションは、B to Bのマーケティング活動において、見込み顧客を創出する3つのステップ(デマンドジェネレーション)の最終ステップにあたり、いますぐコンタクトを取るべきリードを選別して、見込み客リストを営業部門へと引き渡します。
リードジェネレーションで膨大な量のリードを集めても、そのうちの数パーセントしか成約しないことが多いマーケティングファネルにおいて、リードクオリフィケーションの役割は重要です。受注確度の高い見込み客リストのみを営業部門に引き渡すことができれば、営業活動を効率化して成約率を高めることができるからです。
リード選別を行う以前に重要なこと 適切にリードクオリフィケーションを行った見込み客リストを使っても、なかなか成約率が上がらない場合、そもそもリード選別を行う以前に、リードジェネレーションで収集したリードの品質と、リードナーチャリングでのリードの育成方法に問題があることが考えれます。この2つに問題があると、いくら適切にリードクオリフィケーションを行ったとしても、期待する成果を上げることは難しくなります。 リードクオリフィケーションの効果を最大化するためには、大前提として適切な方法でリードを収集・育成することが非常に重要になります。リードの収集・育成については、以下の記事を参考にしてみてください。 |
リードクオリフィケーションが重要な理由は、営業の成約率を大幅に向上させることができるからです。不適格なリードを除外し、適格なリードのみを選別することによって、具体的には以下のような効果が期待できます。
もしも、リードを選別せずに、手当たり次第に営業活動を行った場合、上記とは逆のことが起こる可能性が高くなるということになります。期待する成果を上げることが難しいのは明らかです。
精度の高いリードクオリフィケーションを行うためには、リードの選別作業を始める前に、いくつか確認・定義しておくべきことがあります。
リードは大きく分けて、見込みのある適格リードと、見込みの低い不適格リードの2つのグループに分けられます。
適格リードは、さらに以下の3つのタイプに分けられます。
MQL(Marketing Qualified Lead) | セールスファネルの序盤に位置するリード。メールマガジン、ブログ記事、ウェビナーなど、マーケティングコミュニケーションを受け取るのに適しているリードです。見込みはあるものの、まだ育成中のリードと言えます。 |
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SAL(Sales Accepted Lead) | セールスファネルの中盤に位置するリード。営業チームが詳しく調べた結果、適格なリードであると判断した場合、次のステップに進みます。まだ判断に必要な情報が揃っていない場合や、購入の準備が整っていない場合は、さらにリードの調査や育成を行います。 |
SQL(Sales Qualified Lead) | セールスファネルの底に位置するリード。マーケティング部門と営業部門が、このリードは購入準備が整っていると判断したリードです。営業部門にリストを引き渡し、営業コンタクトを開始するのに適したリードです。 |
集めたリードの中で、予算、機能、条件、権限、業種、スパムなど、何らかの理由で自社の製品にマッチしない不適格なリードについては、営業部門へリストを引き渡さないようにします。
不適格と認定されたリードの中で、明らかに見込みの低いリードはリストから除外します。将来的にまだ可能性の見込める不適格リードについては、引き続きリードナーチャリングを実施します。
多くの営業担当者は、せっかく集めたリードの数を縮小することを嫌がりますが、リードは量よりも質です。営業にとって貴重なのは時間です。できるだけ多くのリードにアプローチして時間を分散して費やすよりも、少数の優良なリードに時間を費やす方がはるかに効率的です。
リードの選別作業を行うにあたって、まずは自社にとって理想的な顧客像を定義しておきましょう。具体的にはペルソナとカスタマージャーニーマップを作成します。これらはリード選別の精度を高めるための重要な資料になります。省略せずに時間をかけてしっかり作成しましょう。
リードが自社の顧客になる可能性があるかどうかを判別するためには、ターゲットにすべき理想的なペルソナを作成する必要があります。提供している製品によっては、複数のペルソナを作成することが望ましい場合もあります。
まずは既存顧客のデータや、Googleアナリティクスの統計データを参考に、定量的な基本データ(年齢、性別、地域、購入金額など)を収集してグループ分けを行います。そしてグループ分けしたデータから共通する特徴を抽出して、ターゲットとするペルソナのプロフィールを作成しましょう。
ペルソナを作成したら、ペルソナごとにカスタマージャーニーマップを作成します。顧客が初めて製品を認知してから、検討段階、契約に至るまでの過程を時系列に並べます。顧客が抱く感情や、つまづきやすいポイントや課題についても事前に洗い出しておきます。
CRMに蓄積したデータ、既存顧客へのインタビューやアンケート、Webサイトのマーケティングデータなどを参考に作成すると良いでしょう。カスタマージャーニーマップを作成しておくことで、集めたリードが今どの段階まで進んでいるのかを可視化して、リードの選別作業に活用することができます。
ここからは、実際にリードの選別作業を行うための2つの方法をご紹介していきます。
リードスコアリングとは、リードのプロフィール情報や、行ったアクションに応じて点数を付け、リードに優先順位を付けるための方法です。定量的なデータに基づいてスコアを計算することによって、迅速かつ一貫性のあるリード選別が可能になります。
まずは、リードから収集したプロフィール情報や、リードが行ったアクション情報に対して、それぞれ何点を付与すべきかを検討し、スコアリングの設計を行います。
スコアリングの採点例 | |
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プロフィール情報 | [役職] 部長:10点/担当者:5点/営業:0点 [業種] 契約率の高い業種:5点/契約率の低い業種:0点 [部署] マーケティング部:5点/営業部:0点 [課題] 明確になっている:5点/明確になっていない:0点 [導入時期] 1ヶ月以内:10点/6ヶ月以内:5点/未確定:0点 |
アクション情報 | ・資料請求:5点 ・お問い合わせ:5点 ・トライアル申し込み:10点 ・セミナー参加:10点 ・メルマガ購読:5点 ・料金ページ閲覧:5点 |
次に、合計スコアが何点に達した時点で、リードを営業部門に引き渡すかの基準も決めておきましょう。スコアリングの採点基準については、それぞれの企業や製品によって異なります。既存顧客のデータ、先に作成したペルソナや、カスタマージャーニーマップを確認しながら検討すると良いでしょう。
ただし、スコアリング設計は、一度設定したら終わりではない点に注意してください。定期的に最新の顧客データやマーケティングデータと照らし合わせながら、スコアリングの採点基準を常に最新に保つようにしましょう。
スコアリングを実施する上で、不足している情報がある場合は、徹底的なリサーチを行います。個人的な憶測で判断してしまうとリード選別の精度が低くなってしまいます。リードに直接コンタクトを取らないとわかならい情報については、営業部門と連携して情報収集を行いましょう。
スコアリング設計に基づいて、リードのスコアリングを実施します。合計スコアが基準に達したリードを定期的に集計し、見込み客リストとして営業部門へ引き渡します。CRMやMAツールの中には、スコアリングを自動化してくれる機能を実装しているサービスもあります。
適格リードを判別するための質問例
上記は一例ですが、これらの質問は、ニーズ、予算、意思決定者、スケジュールなど、リードクオリフィケーションのフレームワークに沿ったテーマで構成されています。 |
リード選別を行うために一般的に使われているフレームワークをいくつかご紹介します。製品の価格帯や、リードの企業規模などによって適したフレームワークを選択します。
BANTは、以下の4つ特性に着目してリードの選別を行います。
BANTの4つの特性は重要度の高い順に並んでおり、これらを全て満たすリードを適格リードとして認定します。古くからあるフレームワークで、様々な企業、様々な市場で利用されています。
CHAMPは、以下の4つ特性に着目してリードの選別を行います。
BANTと似ているフレームワークですが、CHAMPは、リードが抱えている課題を製品が解決できるかどうかを優先的に判断して評価を行います。もし製品がリードの課題を解決することができなければ、迅速にリードを不適格と認定することができます。
MEDDICは、以下の6つ特性に着目してリードの選別を行います。
MEDDICでは、リード選別の精度を高めるのに有効なフレームワークですが、リードに関する多くの詳細な情報を収集する必要があります。製品の単価が高く、複数の意思決定者が関わるようなB to B向けの製品などに向いています。
GPCTBA/C&Iは、以下の8つ特性に着目してリードの選別を行います。
GPCTBA/C&Iは、BANTの進化形と言われ近年注目されているフレームワークです。BANTに比べて、リードの目標達成に重点を起いているのが特徴です。リードのニーズや課題をより深く調査し、リード選別に必要な情報を調査します。かなり詳細な情報収集が必要になりますが、事前に課題や目標を明確にしておくことで、リストを受け取った営業担当者は効率的に営業活動を行うことができます。
以上、リードクオリフィケーションの基本と実施方法についてご説明しました。不適格リードを除外し、適格リードのみに絞ることで、多くの時間を節約し、成約率を高めることができます。
リードクオリフィケーションを成功させるポイント
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