リードクオリフィケーションとは?わかりやすく解説

Lead Qualification(Vectors by Vecteezy)

 ほとんどの営業担当者が、リード(見込み顧客)に対して何かしらの優先順位を付けて営業活動をしていると思います。しかしながら、その優先順位付けを適切に行えているかどうかによって、営業の成約率に大きな差が生じることになります。

 そこで本記事では、集めたリードの中から、営業担当者が追求する価値のあるリードと、そうでないリードを適切に選別するためのプロセス、リードクオリフィケーションについてわかりやすく解説します。

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リードクオリフィケーションとは?

 リードクオリフィケーションとは、実際に購入や契約に至る可能性の高いリードを見極める作業のことです。例えば集めたリードの中から、「今すぐ購入する可能性が高いリード」、「そのうち購入する可能性があるリード」、「購入する可能性が低いリード」のグループにリードを選別する作業です。

 リードクオリフィケーションは、B to Bのマーケティング活動において、見込み顧客を創出する3つのステップ(デマンドジェネレーション)の最終ステップにあたり、いますぐコンタクトを取るべきリードを選別して、見込み客リストを営業部門へと引き渡します。

見込み顧客を創出する3つのステップ(デマンドジェネレーション)

 リードジェネレーションで膨大な量のリードを集めても、そのうちの数パーセントしか成約しないことが多いマーケティングファネルにおいて、リードクオリフィケーションの役割は重要です。受注確度の高い見込み客リストのみを営業部門に引き渡すことができれば、営業活動を効率化して成約率を高めることができるからです。

リード選別を行う以前に重要なこと

 適切にリードクオリフィケーションを行った見込み客リストを使っても、なかなか成約率が上がらない場合、そもそもリード選別を行う以前に、リードジェネレーションで収集したリードの品質と、リードナーチャリングでのリードの育成方法に問題があることが考えれます。この2つに問題があると、いくら適切にリードクオリフィケーションを行ったとしても、期待する成果を上げることは難しくなります。

 リードクオリフィケーションの効果を最大化するためには、大前提として適切な方法でリードを収集・育成することが非常に重要になります。リードの収集・育成については、以下の記事を参考にしてみてください。

なぜリードクオリフィケーションが重要なのか?

 リードクオリフィケーションが重要な理由は、営業の成約率を大幅に向上させることができるからです。不適格なリードを除外し、適格なリードのみを選別することによって、具体的には以下のような効果が期待できます。

  • 成約に至らないリードに浪費する時間を節約することができる。
  • 受注確度の高いリードに営業リソースを集中させることができる。
  • 営業担当者の生産性やモチベーションを高めることができる。
  • 最適なタイミングで営業提案を行うことができる。
  • パーソナライズされたより良い営業提案を行うことができる。
  • 成約に至るまでの時間を短縮することができる。
  • 成約後の満足度を向上させることができる。
  • 成約後の食い違いやクレームを少なく抑えることができる。
  • 解約率や返品率を低く抑えることができる。
  • 営業部門とマーケティング部門の連携が深まる。など

 もしも、リードを選別せずに、手当たり次第に営業活動を行った場合、上記とは逆のことが起こる可能性が高くなるということになります。期待する成果を上げることが難しいのは明らかです。

リードクオリフィケーションを始める前に

 精度の高いリードクオリフィケーションを行うためには、リードの選別作業を始める前に、いくつか確認・定義しておくべきことがあります。

リードグループの種類

 リードは大きく分けて、見込みのある適格リードと、見込みの低い不適格リードの2つのグループに分けられます。

適格リード

 適格リードは、さらに以下の3つのタイプに分けられます。

MQL(Marketing Qualified Lead) セールスファネルの序盤に位置するリード。メールマガジン、ブログ記事、ウェビナーなど、マーケティングコミュニケーションを受け取るのに適しているリードです。見込みはあるものの、まだ育成中のリードと言えます。
SAL(Sales Accepted Lead) セールスファネルの中盤に位置するリード。営業チームが詳しく調べた結果、適格なリードであると判断した場合、次のステップに進みます。まだ判断に必要な情報が揃っていない場合や、購入の準備が整っていない場合は、さらにリードの調査や育成を行います。
SQL(Sales Qualified Lead) セールスファネルの底に位置するリード。マーケティング部門と営業部門が、このリードは購入準備が整っていると判断したリードです。営業部門にリストを引き渡し、営業コンタクトを開始するのに適したリードです。

不適格リード

 集めたリードの中で、予算、機能、条件、権限、業種、スパムなど、何らかの理由で自社の製品にマッチしない不適格なリードについては、営業部門へリストを引き渡さないようにします。

 不適格と認定されたリードの中で、明らかに見込みの低いリードはリストから除外します。将来的にまだ可能性の見込める不適格リードについては、引き続きリードナーチャリングを実施します。

 多くの営業担当者は、せっかく集めたリードの数を縮小することを嫌がりますが、リードは量よりも質です。営業にとって貴重なのは時間です。できるだけ多くのリードにアプローチして時間を分散して費やすよりも、少数の優良なリードに時間を費やす方がはるかに効率的です。

理想的な顧客像を定義する

 リードの選別作業を行うにあたって、まずは自社にとって理想的な顧客像を定義しておきましょう。具体的にはペルソナとカスタマージャーニーマップを作成します。これらはリード選別の精度を高めるための重要な資料になります。省略せずに時間をかけてしっかり作成しましょう。

ペルソナの作成

 リードが自社の顧客になる可能性があるかどうかを判別するためには、ターゲットにすべき理想的なペルソナを作成する必要があります。提供している製品によっては、複数のペルソナを作成することが望ましい場合もあります。

 まずは既存顧客のデータや、Googleアナリティクスの統計データを参考に、定量的な基本データ(年齢、性別、地域、購入金額など)を収集してグループ分けを行います。そしてグループ分けしたデータから共通する特徴を抽出して、ターゲットとするペルソナのプロフィールを作成しましょう。

カスタマージャーニーマップの作成

 ペルソナを作成したら、ペルソナごとにカスタマージャーニーマップを作成します。顧客が初めて製品を認知してから、検討段階、契約に至るまでの過程を時系列に並べます。顧客が抱く感情や、つまづきやすいポイントや課題についても事前に洗い出しておきます。

 CRMに蓄積したデータ、既存顧客へのインタビューやアンケート、Webサイトのマーケティングデータなどを参考に作成すると良いでしょう。カスタマージャーニーマップを作成しておくことで、集めたリードが今どの段階まで進んでいるのかを可視化して、リードの選別作業に活用することができます。

リードクオリフィケーションの方法

 ここからは、実際にリードの選別作業を行うための2つの方法をご紹介していきます。

方法1:リードスコアリングを行う

 リードスコアリングとは、リードのプロフィール情報や、行ったアクションに応じて点数を付け、リードに優先順位を付けるための方法です。定量的なデータに基づいてスコアを計算することによって、迅速かつ一貫性のあるリード選別が可能になります。

スコアリングの設計

 まずは、リードから収集したプロフィール情報や、リードが行ったアクション情報に対して、それぞれ何点を付与すべきかを検討し、スコアリングの設計を行います。

スコアリングの採点例
プロフィール情報 [役職] 部長:10点/担当者:5点/営業:0点
[業種] 契約率の高い業種:5点/契約率の低い業種:0点
[部署] マーケティング部:5点/営業部:0点
[課題] 明確になっている:5点/明確になっていない:0点
[導入時期] 1ヶ月以内:10点/6ヶ月以内:5点/未確定:0点
アクション情報 ・資料請求:5点
・お問い合わせ:5点
・トライアル申し込み:10点
・セミナー参加:10点
・メルマガ購読:5点
・料金ページ閲覧:5点

 次に、合計スコアが何点に達した時点で、リードを営業部門に引き渡すかの基準も決めておきましょう。スコアリングの採点基準については、それぞれの企業や製品によって異なります。既存顧客のデータ、先に作成したペルソナや、カスタマージャーニーマップを確認しながら検討すると良いでしょう。

 ただし、スコアリング設計は、一度設定したら終わりではない点に注意してください。定期的に最新の顧客データやマーケティングデータと照らし合わせながら、スコアリングの採点基準を常に最新に保つようにしましょう。

徹底的なリサーチを行う

 スコアリングを実施する上で、不足している情報がある場合は、徹底的なリサーチを行います。個人的な憶測で判断してしまうとリード選別の精度が低くなってしまいます。リードに直接コンタクトを取らないとわかならい情報については、営業部門と連携して情報収集を行いましょう。

スコアリングの実施

 スコアリング設計に基づいて、リードのスコアリングを実施します。合計スコアが基準に達したリードを定期的に集計し、見込み客リストとして営業部門へ引き渡します。CRMやMAツールの中には、スコアリングを自動化してくれる機能を実装しているサービスもあります。

適格リードを判別するための質問例

  • 現在どのような課題を抱えていますか?
  • 課題解決のために他の製品やサービスをお使いですか?
  • 課題を解決して達成すべき目標はありますか?
  • 予算は具体的に決まっていますか?
  • 誰が購入の意思決定に関わりますか?
  • 導入までの理想的なスケジュールを教えてください。

 上記は一例ですが、これらの質問は、ニーズ、予算、意思決定者、スケジュールなど、リードクオリフィケーションのフレームワークに沿ったテーマで構成されています。

方法2:適切なフレームワークを使う

 リード選別を行うために一般的に使われているフレームワークをいくつかご紹介します。製品の価格帯や、リードの企業規模などによって適したフレームワークを選択します。

BANT(バント)

BANTは、以下の4つ特性に着目してリードの選別を行います。

  • 予算(Budget):予算はどのぐらい用意しているのか?
  • 権限(Authority):購入に関する意思決定を下す権限があるか?
  • 必要性(Need):課題が明確になっているか?
  • スケジュール(Timeline):購入時期のスケジュールは決まっているか?

 BANTの4つの特性は重要度の高い順に並んでおり、これらを全て満たすリードを適格リードとして認定します。古くからあるフレームワークで、様々な企業、様々な市場で利用されています。

CHAMP(チャンプ)

CHAMPは、以下の4つ特性に着目してリードの選別を行います。

  • 課題(Challenges):課題が明確になっているか?課題解決のために現在行っている試みは?
  • 権限(Authority):購入に関する意思決定を下す権限があるか?
  • 予算(Money):予算はどのぐらい用意しているのか?
  • 優先順位(Prioritization):課題解決の重要性はどの程度か?いつまでに解決したいか?

 BANTと似ているフレームワークですが、CHAMPは、リードが抱えている課題を製品が解決できるかどうかを優先的に判断して評価を行います。もし製品がリードの課題を解決することができなければ、迅速にリードを不適格と認定することができます。

MEDDIC(メディック)

MEDDICは、以下の6つ特性に着目してリードの選別を行います。

  • 測定指標(Metrics):購入によって得られる利益は何か?
  • 決裁権限者(Economic Buyer):予算の決定権を持つ人は誰か?
  • 意思決定基準(Decision Criteria):購入を決定権を持つ人は誰か?
  • 意思決定プロセス(Decision Process):購入決定までにどのようなプロセスを踏むのか?
  • ペイポイントの特定(Identify Pain):製品を導入して解決したい課題は何か?
  • 社内の支持者(Champion):購入を後押ししてくれる支持者が社内にいるか?

 MEDDICでは、リード選別の精度を高めるのに有効なフレームワークですが、リードに関する多くの詳細な情報を収集する必要があります。製品の単価が高く、複数の意思決定者が関わるようなB to B向けの製品などに向いています。

GPCTBA/C&I(ジーピーシーティービーエー シーアンドアイ)

GPCTBA/C&Iは、以下の8つ特性に着目してリードの選別を行います。

  • 目標(Goals):達成したい目標が明確になっているか?
  • 計画(Plans):目標を達成するまでの計画が明確になっているか?
  • 課題(Challenges):課題が明確になっているか?課題解決のために現在行っている試みは?
  • スケジュール(Timeline):いつまでに課題を解決し目標を達成したいか?導入時期は?
  • 予算(Budget):予算はどのぐらい用意しているのか?
  • 権限(Authority):購入に関する意思決定を下す権限があるか?
  • マイナスの影響(Negative Consequences):目標達成までに起こり得るネガティブな要素や結果。
  • プラスの影響(Positive Implications):目標を達成した場合にどのようなポジティブな結果が生まれるか。

 GPCTBA/C&Iは、BANTの進化形と言われ近年注目されているフレームワークです。BANTに比べて、リードの目標達成に重点を起いているのが特徴です。リードのニーズや課題をより深く調査し、リード選別に必要な情報を調査します。かなり詳細な情報収集が必要になりますが、事前に課題や目標を明確にしておくことで、リストを受け取った営業担当者は効率的に営業活動を行うことができます。

まとめ

 以上、リードクオリフィケーションの基本と実施方法についてご説明しました。不適格リードを除外し、適格リードのみに絞ることで、多くの時間を節約し、成約率を高めることができます。

リードクオリフィケーションを成功させるポイント

  • 適切なリード収集と育成
  • 理想的な顧客像を定義する
  • リードスコアリングの設計と実施
  • 適切なワークフレームの選択

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