近年、多くの企業がリード(見込み客)を収集するための方法として、ソーシャルメディアやWebサイトを積極的に活用するようなっています。しかしながら、せっかく集めたリードも顧客へと変えることができなければ、ビジネスを成功へと導く事はできません。
そこで本記事では、リードを育成するためのプロセス「リードナーチャリング」の重要性について考え、代表的なリードナーチャリングの方法や、成功させるために実行すべきや戦略についてご紹介します。
メールを使ってリードを育成しよう! |
【目次】
リードナーチャリングとは、収集したリードに対して有益な情報を提供し、製品やサービスの購入意欲を高めていくためのプロセスです。
主に、購入決定までの検討期間が長いB to Bビジネスや、B to Cのビジネスの中でも住宅や自動車など高額な商材を扱っている場合に、有効なマーケティング手法です。
まだ購入意思が固まっていない見込み客に対して、メールマーケティング、ブログ、SNSなど様々な施策を段階的に実施することによって、製品やサービスへの理解を深めてもらい、購入意思を固めるための信頼関係を構築して行きます。
適切にリードナーチャリングを実施するためには、リードナーチャリングの重要性をしっかり把握しておく必要があります。
リードナーチャリングによって、見込み客、または既存顧客と継続的にコミュニケーションを取ることによって、顧客エンゲージメントを維持・向上させることができます。
もしリードナーチャリングを行わなければ、見込み客は、競合する企業へ流れたり、既存顧客は休眠顧客になってしてしまう可能性が高くなります。
近年、製品やサービスを検討する手段として、Webサイトを使って情報収集を行い、複数の選択肢の中から比較検討をすることが一般化しています。その影響もあり、購入を決定するまでのサイクルが長期化する傾向にあります。
競合よりも優位に立つためには、見込み客が必要としている情報や答えを、適切なタイミングで提供し、成約するまでの期間を短縮する必要があります。
適切な方法で集めたリードであっても、「今すぐに購入したい」という受注確度の高い見込み客は、ほんの数パーセントです。残りの大半は情報収集レベルの場合が多く、中には関心の低い見込み客も含まれています。
集めたリードを最大限に活用するためには、関心の低い潜在顧客から、初期・中期段階の見込み客をリードナーチャリングによって育成し、1人でも多くの顧客を生み出す必要があります。
集めたリードに電話やメールで手当たり次第に営業を掛けるのは、決して効率的な方法とは言えません。企業は、限られた営業リソースを効率良く活用して、利益を創出しなければなりません。
リードナーチャリングによって、見込み客を育成し、いますぐコンタクトを取るべき受注確度の高い見込み客リストのみを営業部門に引き渡すことができれば、営業活動の効率は飛躍的に向上します。
適切にリードナーチャリングを実施すれば、従来のマーケティング戦略に掛けるコストを大幅に削減しながら、より多くのコンバージョンや売り上げを獲得することができます。ビジネスの重要指標のひとつであるROI(投資収益率)を改善するための有効な施策だと言えます。
もしリードナーチャリングを行わなければ、毎月高額な広告費用を掛けて、新たなリードを収集し、コンバージョンするのをじっと待ち続けることになるでしょう。
リードナーチャリングを実施し、結果の測定と改善を繰り返すうちに、見込み客に対して、どのような情報を、どのようなタイミングと頻度で提供すれば、最もコンバージョン率が高くなるのかという、成功の秘訣のようなものが分かってきます。
企業として、収集したリードから顧客を生み出す仕組みを構築することができれば、ビジネスの目標達成へと確実に近づくことができます。
実際にリードナーチャリングを始めるためには、事前にリードナーチャリングの手順や方法をまとめたシナリオを作成しておく必要があります。
シナリオを作成するためには、まずは自社の理想とする顧客像を定義したターゲットペルソナを確認しておきましょう。まだペルソナを作成していない場合は、既存顧客のデータ等を参考にペルソナを作成してください。見込み客を育成するための適切な方法や戦略は、ペルソナのプロフィールに基づいて検討します。
次に、見込み客が製品を認知してから、検討段階を経て、購入に至るまでの過程を時系列に並べたカスタマージャーニーマップを確認します。まだカスタマージャーニーマップを作成していない場合は、既存顧客が成約するまでの経過などをCRMに蓄積したデータ等を参考に作成してください。
カスタマージャーニーマップは、各フェーズごとに、見込み客が抱く感情や、つまづきやすいポイントや課題、どのように意思決定をしているかなどを理解するのに役立ちます。
ターゲットペルソナとカスタマージャーニーマップを基に、リードナーチャリングの具体的な方法や手順をシナリオとしてまとめます。
事前にシナリオを作成しておくことで、見込み客のフェーズに合わせたコンテンツを適切なタイミングで提供することができます。また、フェーズに合っていない不要な情報提供を避けることにもなります。
リードナーチャリングのシナリオは、はじめから完璧を求めたり、複雑過ぎるシナリオを作成する必要はありません。結果を測定・分析しながらシナリオに調整を加えることで、より具体的かつ効果的なシナリオへと改善して行くことが大切です。
リードナーチャリングの方法は数多く存在しますが、ここでは代表的な方法をデジタルとアナログな方法に分けてご紹介します。以下の中から、自社のビジネスと見込み客のニーズや特徴に合った方法を、いくつか選択して組み合わせることが一般的です。
メールやブログは、低コストで手軽に始めることができるためお勧めです。特にターゲットを絞ったメール配信や、メールを自動化するステップメールは、リードナーチャリングのシナリオに沿って、見込み客に情報を提供する方法として非常に適しています。
アナログな方法は、ある程度興味を持っている見込み客に対して、直接製品の説明が行えるというメリットがあります。ただし、時間や場所、リソースやコストに制限がある場合が多いため、見込み客のフェーズを適切に見極めながら、最適なタイミングで実施することが重要です。
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効果的なリードナーチャリング戦略を立てるために、押さえておくべき8つのポイントをご紹介します。
リードナーチャリングを成功させるためには、適切なリードナーチャリングの方法を選択する必要があります。適切な方法は、業界、業種、商材、見込み客のフェーズによっても異なります。作成したシナリオを確認しながら、最適な方法を選択していきます。
もし、何を選択するべきか分からない場合は、まず競合他社が何を実施しているかを調査してみましょう。業界の標準的な方法を把握した上で、自社の強みを活かせる方法を選択すると良いでしょう。もちろん、コストやリソース面も含めて、現実的な方法を検討してください。
リードをコンバージョンさせるためには、見込み客にどういうアクションを取ってもらいたいか、明確なCTAを設定する必要があります。CTAは見込み客のフェーズごとに作成します。カスタマージャーニーマップを確認しながら、各フェーズのゴールとなるアクションをCTAとして設定しシナリオに追記します。
例えば、まだ自社の製品やサービスについてよく知らない、検討初期段階の見込み客の場合は、資料ダウンロードや、メルマガ登録、中期段階では、無料トライアル申込や、セミナー申し込み、最終段階では、デモの実施や、決裁者との商談、といったように段階的かつ具体的なCTAを設定します。
リードナーチャリングを行う上で重要なポイントとして、One to Oneで見込み客に対してアプローチすることです。見込み客一人ひとりのプロフィールや、行動履歴を基にして、あらかじめ作成しておいたシナリオに沿って、適切なタイミングで情報を提供します。
見込み客の業界、業種、検討フェーズなどに応じて、ターゲットを絞った関連性の高いコンテンツを作成しましょう。そうすることで、見込み客の課題やニーズへの理解を示しやすく、見込み客との信頼関係を築きやすくなります。
例えば、ホワイトペーパーで示す統計データや事例などの一部を、見込み客の業界に合わせた内容にカスタマイズして提供すれば、見込み客にとって、自分のために特別に作成されたパーソナライズコンテンツとなり、共感を得やすくなります。
見込み客に適切なタイミングで情報を提供するためには、リードナーチャリングのワークフローをできるだけ自動化することです。見込み客が行なった、資料ダウンロードや、無料トライアルを申し込みなどのアクションをトリガーとして、自動的に始動するタイプの施策を活用します。
自動化の施策として、最も一般的に利用されているのがメールマーケティングです。あらかじめ設定しておいたシナリオに基づいて、見込み客がアクションを起こした日を基準日として、「行動直後、3日後、7日後…」といった感じで自動的にメールで送ることができます。
メールを送信するタイミングを自動化することによって、最小限の労力で、見込み客に対して、One to Oneのマーケティングを実施することができます。
リードナーチャリングでメールを送る場合、テキストメールと、HTMLメールのどちらの形式を使うべきでしょうか?答えは、場合によって使い分けるべきです。
前述した通り、リードナーチャリングは、One to Oneでアプローチすべきマーケティング手法であるため、契約に関する重要なオファーなど、より1対1の個別メールのように見せたい場合は、メールの一行目に見込み客の名前を差し込んだ、プレーンなテキストメールの利用を検討しましょう。
一方で、HTMLメールは、画像を使ったリッチコンテンツを届けることができるため、見込み客に直感的でインパクトのある訴求を行うことができます。明らかにマーケティングチームからのメールだとわかる、新しいブログ記事のお知らせや、チュートリアルによるトレーニングメールなどは、HTMLメールが適しています。
リードナーチャリングを成功させるためには、営業部門とマーケティング部門がしっかり連携して、リードの育成に取り組む必要があります。
シナリオの内容、リードナーチャリングの方法、リードのスコアリング方法、リストの引き渡し方法などを共有し、目標や責任の所在をはっきりさせておきます。共有した内容は文書化して、責任者が進捗状況を管理します。
リードナーチャリングの施策が実行され始めたら、定期的に結果を測定してください。例えば、見込み客がメールをクリックしてコンテンツを閲覧した回数、各フェーズごとのコンバージョン数、次のフェーズに移行したリードの数や期間、営業部門へ引き継いたリードの数、実際に購入に至った数など、見込み客とのエンゲージメント率を測る指標を測定します。
リードナーチャリングの責任者は、あらゆる指標を使って多角的に分析を行い、見込み客へのアプローチが適切であったかどうかを判断します。シナリオやコンテンツの問題点を特定し、改善を繰り返すことによって、着実に効果的なリードナーチャリング戦略へと進化させることができます。
リードナーチャリングを実施した結果、購入準備が整ったと判断できる見込み客については、営業部門へとリストを引き渡します。
受注確度の高い見込み客を選別する方法としては、リードの行ったアクションに応じて点数を付けて、合計点数が基準に達しているかどうかで判断する、リードスコアリングという方法で実施します。
リードスコアリングや、リードの選別(リードクオリフィケーション)については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
リードナーチャリングは、最終的に製品やサービスを購入してもらうための最も確実で効果的な方法のひとつだと言えます。今回ご紹介した内容を参考に、自社のビジネスに合ったリードの育成方法を検討してみてください。
計画したリードナーチャリングを実行し、PDCAサイクルを回し続けることによって、収集したリードから顧客を生み出す、永続的な仕組みを構築することができるはずです。
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