適切にメール配信を行うためには、必ず「オプトアウト」という仕組みをメールに導入することが法律で義務化されています。ここで言うオプトアウトとは、読者がメールの配信停止手続きを行うことを指します。
本記事では、メール配信を行う上で、担当者が絶対に知っておかなければならない、オプトアウトの仕組みや重要性について、法的な側面にも触れながら分かりやすく解説します。
最後に、読者がメールをオプトアウトする主な原因と、オプトアウト率を下げるための対策についてもご紹介します。
メールにオプトアウト機能をカンタン導入! |
【目次】
オプトアウトとは、個人情報保護のための重要な概念であり、個人が自分の情報の利用を望まない場合に、その利用を拒否する権利のことを指します。
これをメール配信に当てはめると、メール配信リストやデータベースに登録されたメールアドレスや氏名などの個人情報の利用して、メールが送信されることを拒否することです。具体的には、読者はメール内に記載された「配信停止リンク」などから配信停止の手続きを行います。
メール配信を行う事業者は、メール本文や会員サイトなどから、簡単にオプトアウトの手続きができる方法を提供しなければなりません。これは「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(以下、特定電子メール法)」によって義務付けられています。
オプトアウトの対となる「オプトイン」についても解説しておきます。メール配信におけるオプトインとは、オプトアウトの逆で、自分のメールアドレスや氏名などの個人情報を利用して、メールを受信することに「同意する」ことを指します。
メール配信を行う方式として、「オプトアウト方式」と「オプトイン方式」の2つの方式があります。
※ここで説明する「オプトアウト方式」と、前述した「オプトアウト(配信停止機能)」は、用語の意味合いが少し異なります。混同しないようにしてください。
事前にメール受信についての同意を得ずにメール配信を行い、メール受信者からオプトアウトの手続きや申し出がない限りは、メールを送信し続けることを「オプトアウト方式」のメール配信と言います。
例えば、名刺交換をした取引先担当者への個別の連絡メール、ECサイト購入者への取引に関する個別の連絡メール、Webサイトで公開されているメールアドレス宛に送る個別のメールなどが該当します。但し、広告宣伝の内容を含まないメールである必要があります。
現在、メルマガや広告宣伝用に一斉送信されるメール配信については、オプトアウト方式でメールを送信することは原則禁止となっています。
未だに行われている不適切な方法として、メールアドレスリストの購入が挙げられます。購入したリストを使ったメール配信は、オプトアウト方式となるため、特定電子メール法違反に該当し、処罰の対象となる可能性があります。
事前にメール受信についての同意を得てから、メールを送信することを「オプトイン方式」のメール配信と言います。
同意を得る方法は、ユーザーにメルマガ購読用の登録フォームや、Webサイトの会員登録フォームから、メールを受信することについての意思表示をしてもらいます。
一般的に、オプトイン方式で同意を得る仕組みには、以下の2つのタイプがあります。
ユーザーが登録フォームからメールアドレスを登録(同意)した瞬間に、メール配信リストにメールアドレスが登録される仕組みのことです。一度の同意でオプトイン状態になるため「シングルオプトイン」と言います。
シングルオプトインは、手続きが簡単で登録率が高まると言うメリットがありますが、ユーザーの意図しない不正な登録や、メールアドレスの誤登録が増える可能性があります。
ユーザーが登録フォームからメールアドレスを登録(同意)した直後に、登録メールアドレス宛に「仮登録メール」が送信され、メール内のURLをクリックすることで、本登録される仕組みのことです。2段階の同意を経て、オプトイン状態となるため「ダブルオプトイン」と言います。
ダブルオプトインは、登録情報の正確性を確保し、本当に興味のあるユーザーのみが登録された質の高いメール配信リストの構築を可能にします。「なりすまし」の同意を防止する対策としても、ダブルオプトインの採用が推奨されています。
2008年の特定電子メール法の改正により、広告・宣伝を目的としたメール配信に関しては、オプトイン方式を採用することが原則として義務付けられています。事前の同意を得ずに、広告・宣伝メールを送ると法律違反となり処罰の対象となります。
特定電子メールの送信等に関するガイドライン 以下、総務省発行のガイドラインにも一度目を通してみることをおすすめします。オプトイン規制、オプトアウト、メールへの表示義務などが細かく規定されています。 ▼特定電子メールの送信等に関するガイドライン – 総務省(PDF) |
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メール配信を行う際に、オプトアウトの仕組みが重要視される理由は以下の通りです。
特定電子メール法や、個人情報保護法など、日本では個人情報の収集や取り扱い方について、厳格な法律や規制が存在します。メールにオプトアウトの仕組みを導入することは、これらの法律や規制に準拠するための重要な手段となります。
もしメールにオプトアウト機能が無かったら、収集した個人情報を無制限に利用することになります。これはプライバシーの侵害にあたる可能性があります。オプトアウト機能によって、ユーザーのプライバシーを保護し、ユーザー自身が個人情報の扱いについての意思決定ができるようにしておくことが重要です。
メールにオプトアウト機能を導入して、いつでも簡単にメールの配信停止ができるようにしておくことは、企業やブランドの健全性や透明性を保つことになります。もしメールにオプトアウト機能が無かったら、ユーザーに不信感を抱かせることになり、信頼関係を築くことが難しくなります。
メールにオプトアウト機能を追加することで、メール配信リストから反応の悪いメールアドレスを削除して、メール配信リストを健全に保つことができます。
質の高い配信リストを使用することで、メールの到達率やCV率が高くなります。オプトアウト機能を追加すると、「せっかく集めたメールアドレスが減ってしまうのでは…」と心配する必要はありません。
具体的にメール内にオプトアウト機能を入れる2つの方法をご紹介します。
メールのフッターに、「配信停止はこちら」などの、メール配信を停止するためのオプトアウト用リンクを入れる方法です。リンクをクリックするとオプトアウト用の専用ページに遷移します。ページには配信停止手続きを行うための入力フォームや配信停止ボタンを設置します。
ユーザーからのオプトアウト要求が届いたら、直ちにメール配信リストを更新して、今後メールが届かないようにすることが重要です。手動での更新は即時性に欠け、ミスが起こる原因にもなるため、オプトアウト要求の反映はシステムで自動化するのが効率的です。
メール配信システムのオプトアウト機能 ほとんどのメール配信システムでは、オプトアウト用のリンク作成機能、専用ページの作成機能、オプトアウト要求の自動反映機能、オプトアウト数の確認機能などが搭載されています。 また、メール送信エラーになる存在しないアドレスなどを自動的にオプトアウトする機能など、メール配信リストを健全に保つための機能も充実しています。 |
メールにオプトアウト機能をカンタン導入! |
ECサイトなどの会員ページ内にメール受信の有無を選択する機能がある場合は、メール内に会員ページへの誘導リンクと、会員ページ内でメールの配信停止の手続きができることを案内します。
一斉送信メールにオプトアウト機能(配信停止リンク)を入れる場合は、以下の点に注意することが重要です。
メール本文内に設置する配信停止リンクは、受信者が簡単に見つけられる場所、適切なサイズや色で設置する必要があります。一般的には、メールのフッター部分に「配信停止はこちら」といった目立つリンクテキストを配置します。
メール本文内に設置した配信停止リンクが、正しく動作するかどうかを定期的に確認する必要があります。メール配信サービス側の不具合や受信者側の設定の影響により、リンクが正常に動作しない場合があります。受信者から「配信停止できない」という報告があった場合には、注意深く調査を行いましょう。
配信停止リンクをクリックした後、受信者に対して配信停止が完了したことを伝えるメッセージが正しく表示されるかどうかを確認します。メッセージが何も表示されなかったり、分かりにくい説明が表示された場合、受信者が混乱したり不信感を抱く可能性があります。
メールの差出人名、送信者メールアドレス、メールの発行元情報などは、正確に表示する必要があります。送信者情報が不明確な場合、受信者はメールの安全性や信頼性に疑問を持ち、配信停止リンクをクリックすることをためらってしまいます。
オプトアウトについて理解できたところで、最後に、読者がメールをオプトアウトする主な原因について考えてみましょう。
メールのオプトアウト率は、メールの配信結果を測定するための重要指標の一つです。もしオプトアウト率が高い場合には、原因を特定して、対策を講じる必要があります。
メールアドレスのリストを購入したり、企業やブランドと無関係な豪華プレゼントへの応募で集めたメールアドレスのリストなどは、品質が低くオプトアウト率が高くなる傾向があります。
オプトアウト率を下げるには、リードマグネットなどを活用して、本当に情報を求めているユーザーのメールアドレスを集めた、質の高いメール配信リストを構築する必要があります。
悪質な内容のメールでなくても、必要以上に何通も同じようなメールを送ってしまうと、読者は迷惑メールだと感じ始め、オプトアウト率が高くなる可能性があります。
適切なメールの頻度については、業種、商材、メールの用途などによっても異なります。メールのオプトアウト率、クリック率、CV率などの指標を分析しながら、最適なメールの送信頻度を探る必要があります。
逆に、メールを送る頻度が少な過ぎるのも問題です。読者にメルマガ登録をしていることを忘れられてしまったり、読者の興味を惹きつけ続けることが難しくなり、オプトアウト率が高くなる可能性があります。メールは適切な頻度で定期的に送ることが大切です。
不適切なタイミングでメールを送信してしまうと、読者に違和感や煩わしさを感じさせてしまい、オプトアウト率が高くなる可能性があります。特に、深夜や早朝に送信されるメールには注意が必要です。
また、緊急性や即時性が要求されるメールを配信するタイミングも重要です。しかし、大規模なメール配信を行う場合、メールの送信から受信までに数時間から数日のタイムラグが発生する可能性があります。
大規模なメール配信が想定される場合、大量のメールを高速で処理できる性能を持った、メール配信システムを利用する必要があります。
※メールの配信速度については、メールの容量や、メール配信エンジンのパフォーマンスに依存します。
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メールコンテンツの質が低く、読者に価値を提供できていない場合、オプトアウト率が高くなる可能性があります。読者は、有益な情報や割引など、自分にとって価値のある情報を求める傾向があります。
また、最初は有益な情報を提供していたものの、次第にコンテンツの質が低下してしまうことも考えられます。メールコンテンツの品質維持に努めることが重要です。
企業側の都合で一方的に送られてくる、売り込み色の強いメールは、読者に嫌悪感や不信感を抱かせてしまいます。結果として、企業のブランドイメージを損ない、オプトアウト率も高くなる可能性があります。
広告・宣伝目的で送るメールであったとしても、強引な売り込みメールに見えないように注意する必要があります。読者に歓迎されるような価値ある情報を提供することが大切です。
メールを開いても、表示崩れなどでメールが正しく表示されない場合、読者を失望させオプトアウト率が高くなる可能性があります。
デスクトップでは正しくメールが表示されるが、モバイルだと表示が崩れているという場合も考えられます。マルチデバイスに対応するためには、レスポンシブデザインのHTMLメール作成や、ブラウザ表示用のHTMLを用意する必要があります。
メールの用途にもよりますが、セグメントもパーソナライズもされていない一斉配信メールは、オプトアウト率が高くなる可能性があります。なぜなら、ターゲットを絞っていないメールは、内容が漠然としていて、読者ごとのニーズにあった情報を提供することが難しくなるからです。
逆に、メール配信リストをセグメントして、内容をパーソナライズしたメールを送信することができれば、読者ごとのニーズにあった情報を提供することができます。メールは読者に歓迎され、オプトアウト率を低く抑えることができます。
オプトアウトはメール配信を行う上で、必ず導入しなければならない機能です。まずは、自社で配信しているメールからオプトアウトの手続きがスムーズにできるかどうかを確認してみてください。
その上で、読者にとって価値のある情報提供を行い、オプトアウト率を低く抑える努力を継続することが大切です。
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