メールのクリック率(CTR)とは?成果を読み解くための視点と考え方

メールのクリック率(CTR)とは?成果を読み解くための視点と考え方

 「メール施策の成果、あなたはどう見極めていますか?」

 開封率、クリック率、コンバージョン率…。メール施策には多くの指標がありますが、「結局どれを重視すればいいのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。

 特に近年は、Appleのプライバシー保護機能などの影響で、開封率の信頼性が揺らいでいます。そこで今、より確かな成果指標として注目されているのが「クリック率(CTR)」です。

 本記事では、「クリック率(CTR)」とは何か、なぜ今重視すべきなのか、そしてそこから何が読み取れ、どのように活用・改善していけばいいのかを、初心者の方にもわかりやすく解説します。

 「メールの成果を、きちんと数字で見極めたい」と考えている方にとって、実務に活かせる内容になっています。ぜひ最後までご覧ください。

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クリック率(CTR)とは?開封後クリック率(CTOR)との違いも解説

クリック率(CTR)の定義と計算式

 クリック率(CTR)とは、メールを受信した人のうち、メール内のリンクをクリックした人の割合を表す指標です。英語では、「Click Through Rate」と呼ばれ、「CTR」と略されます。

 CTRは、メールマーケティングにおいて、配信全体に対する反応の大きさを把握するために広く使われており、コンテンツへの関心度や訴求力を測る手がかりにもなります。

クリック率(CTR)の計算式

CTR(%)=(クリック数 ÷ 有効配信数)× 100

※有効配信数 = 配信総数 - エラーメール数

例えば、メールの有効配信数が1,000通で、そのうち50件のリンクがクリックされた場合、CTRは「5%」になります。

 CTRは、メール開封の有無にかかわらず、有効配信数を母数として算出されるため、「配信したすべてのメールに対して、どれだけの反応が得られたか」を客観的に捉えることができます。

開封後クリック率(CTOR)との違い

 一方で、開封後クリック率(CTOR)という、CTRと似た指標も存在します。CTORは「Click To Open Rate」の略で、メールを開封した人のうち、メール内のリンクをクリックした人の割合を表す指標です。

 CTRと同様にメールの反応を測る指標ですが、CTORは「開封者」に限定して反応を測るため、コンテンツやデザインがどれだけ訴求力を持っていたかを、より詳細に判断するのに適しています。

開封後クリック率(CTOR)の計算式

CTOR(%) =(クリック数 ÷ 開封数)× 100

 つまり、CTRが「配信成功数に対するクリック率」であるのに対し、CTORは「開封者に対するクリック率」を示しています。

 どちらもメール分析における重要な指標ですが、本記事ではCTRに焦点を当てて解説していきます。

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なぜ今、クリック率(CTR)に注目すべきなのか?

 メール施策の効果測定指標として、かつては「開封率」が重視されていました。しかし現在では、より信頼性が高く、成果にも直結しやすい指標として「クリック率(CTR)」に注目が集まっています。

 その背景には、次の3つの理由があります。

開封率の正確性が低下している

 Appleの「Mail Privacy Protection(MPP)」などのプライバシー保護機能の影響により、開封率の信頼性は徐々に低下しています。例えば、実際には開封されていないにもかかわらず、「開封済み」としてカウントされてしまう場合があります。

 さらに、開封率はメールクライアントやデバイス環境(機種やOS)の仕様変更にも影響を受けやすく、計測の安定性にも課題が残ります。

 こうした背景から、開封率だけに依存してメールの効果を判断するのはリスクが高いと言えます。

 その点、クリック率(CTR)は、ユーザーが実際にリンクをクリックしたという、明確な行動に基づいているため、より信頼性の高い指標として注目を集めています。

Webサイトのアクセス分析と連携しやすい

 近年のメールマーケティングは、他チャネルとの連携や役割分担が重視されるようになっています。

 クリック率(CTR)は、メールからWebサイトへの遷移を可視化する橋渡し的な指標となり、アクセス解析の出発地点として重要な役割を果たします。

 Googleアナリティクなどの外部ツールと連携することで、メール経由で何人が訪問し、その後どのような行動を取ったかまでを詳細に把握することができます。

 メールだけで完結しない、Webサイト上での成果を見据えた施策を設計するうえで、CTRは欠かせない指標になっています。

実務的な指標としての扱いやすさ

 クリック率(CTR)は、ほとんどのメール配信システムで標準的に測定できる、実務担当者にとって扱いやすい指標のひとつです。特別な設定も必要なく、すぐに確認できるという手軽さは、日々の業務を支える心強い味方になります。

 さらに、CTRは指標としての定義や理解が比較的共通しているため、チーム内での共有や、上司への報告にも適しています。数字の意味を一から説明する手間が少なく、施策の結果をスムーズに伝えることができます。

 多くの企業が抱える「効果測定の難しさ」や「成果の継続」に対して、CTRは実務の現場でPDCAを回すための確かな手がかりとなってくれます。

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クリック率(CTR)から読み取れるもの

 クリック率(CTR)は、メール施策のどこに課題があり、どこが成果につながっているのかを読み解くための重要なヒントを与えてくれます。

 ここでは、CTRから何が見えてくるのかを、5つの視点で整理してみます。

全体の反応率

 まず基本となるのが、メール全体に対する読者の反応率です。

 クリック率(CTR)は、有効配信数を母数として計算されるため、「配信したメール全体に対して、どれだけの人が実際に行動を起こしたのか」をダイレクトに測ることができます。

 これは、メールの内容・構成・配信方法などを総合的に評価するための指針とも言えるでしょう。

コンテンツの魅力度

 メールが開封された後、リンクをクリックするかどうかは、「冒頭のキャッチコピーやリード文」「アイキャッチ画像」「訴求コンテンツ」など、本文内のコンテンツの魅力に大きく左右されます。

 開封はされているのに、クリック率(CTR)が低い場合は、コンテンツの魅力が欠けている、伝わりづらい、行動を促す工夫が足りない、といった課題が考えられます。

 一方で、CTRが高い場合は、件名から本文、リンクの設計まで、メール全体の導線がしっかり機能している証拠だと判断することができるでしょう。

メールデザインの効果

 クリック率(CTR)は、メールデザインの良し悪しに大きく左右される指標です。

 例えば、「リンクボタンが目立たない」「情報を詰め込み過ぎている」「スマートフォンで見づらい」「レイアウトが崩れている」「読み込み速度が遅い」など、視認性や操作性に問題があると、CTRの低下につながりやすくなります。

 CTRが伸び悩んでいる場合は、HTMLメールのデザイン面に課題がないかを見直すことで、改善の糸口が見つかることも少なくありません。

セグメント精度

 どれだけ優れたコンテンツやデザインのメールでも、届ける相手が適切でなければ成果は期待できません。クリック率(CTR)は、配信リストのセグメントが適切に機能しているかを見極める指標としても有効です。

 例えば、全ユーザーに一斉送信していたメールを、年齢や性別などの属性に基づくセグメント配信に切り替えたり、さらに購入履歴や検討フェーズなどのデータを活用した、より詳細なセグメント配信に変更した結果、CTRが向上すれば、より精度の高いセグメント配信ができていると判断できます。

配信頻度・タイミングの最適性

 同じ内容のメールでも、「いつ送るか」によって反応が大きく変わることがあります。クリック率(CTR)が低い場合は、配信タイミングが読者のライフスタイルと合っていなかったり、送る頻度が多すぎて飽きられている可能性も考えられます。

 定期的にCTRの推移をチェックしながら、曜日や時間帯、配信間隔のテストを繰り返すことで、自社にとっての最適な配信パターンを見つけることができます。


 クリック率(CTR)を改善するための具体的な方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。実践編として合わせてご覧ください。

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自社のクリック率(CTR)のベンチマークの作り方

 ここまで読んで、「うちのクリック率は良いのか悪いのか…」と疑問に感じた方も多いのではないでしょうか。

 この章では、日々の効果測定で成果を正しく判断するために必要な、自社にとっての基準(ベンチマーク)の作り方について解説します。

業界平均より大切なこと

 「クリック率(CTR)は、どれぐらいあれば良いのか?」と考えた場合に、多くの方がまず気にするのが、「業界平均」や「他社事例」かもしれません。確かに、そうした数値を参考データとして把握しておくことには一定の意味があります。

 しかし、いざ自社のCTRを改善しようとする場面では、それらのデータが本当に役に立つとは限りません。実際に重視すべきなのは、「自社の過去データとの比較」です。

 なぜなら、企業ごとにメールの目的やCTAの内容、保有アドレス数、配信リストの質、ユーザー層、商材の性質などが異なるため、たとえ他社と同じCTRであっても、自社にとっては十分とは言えないこともあるからです。

 だからこそ大切なのは、「自社にとっての基準値(ベンチマーク)」を持つこと。

 自社のCTRの平均値や推移を継続的にモニタリングし、「何をしたら、どれくらい数値に変化があったのか」を検証・蓄積していくことが、着実な成果改善へとつながっていきます。

無理なく続けるCTR改善の記録方法

 クリック率(CTR)を改善するには、日々の配信結果を記録・分析し、どの要素が影響しているかを把握することが重要です。

 とはいえ、「忙しくてそこまで手が回らない…」「毎回細かく記録するのは正直面倒…」というのが、多くの現場の実情ではないでしょうか。

 そこでおすすめしたいのが、簡単に記録できて、後から見返しやすい「CTRチェックリスト」を作っておくことです。

 たとえ毎回しっかり分析ができなかったとしても、「何を変えたのか/何が同じか」などの情報が記録されていれば、後から見比べることで改善のヒントが得られます。

 以下、CTRの変動要因になりやすいポイントをまとめた、簡単なチェックリストの一例です。

◎CTRチェックリストの例(配信ごとに記録)

項目 内容 備考
配信日 20XX/8/7(水)
メールの種類 キャンペーン(セール告知)
件名 【本日限定】夏セール ★短い件名に変更(全角10文字)
配信対象 ゴールド会員(1280人)
配信時間帯 21時 ★平日の遅めの配信に変更
CTAの数 3つ(上・中・下段) ★2個→3個に変更
CTR 3.2% 前回比+0.5pt

 このような「メモ程度」の記録でも、複数回分を見比べれば十分に改善のヒントが得られます。GoogleスプレットシートやExcelなどに記録しておくと、後から比較がしやすくて便利です。

 ※このチェックリストは、CTR改善のための一例です。自社のメール施策の目的や運用体制に合わせて、記録項目などをカスタマイズしてご活用ください。

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クリック率はメール配信ツールによって違う?まずは集計方法を確認しよう

CTR?CTOR?ユニーク?クリック率の定義の違いに注意

 「よし、自社のクリック率を見てみよう」と思った方は、ちょっと待ってください。

 実は、メール配信ツールによって「クリック率の定義」や「表示のされ方」が異なるため、まずは利用中のツールで、クリック率がどのように集計・表示されているのかを把握しておくことが大切です。

 例えば、クリック率の定義が、CTR(クリック数 ÷ 配信成功数)なのか、CTOR(クリック数 ÷ 開封数)なのかによって、同じ配信でも表示される数値は大きく変わってきます。

 さらに、レポート画面に表示される、クリック数のカウント方法についても、ユニーククリック数(リンクをクリックした人数)なのか、トータルクリック(同じ人が複数回クリックした回数も含む)なのかによって、分析の方針や読み取り方も大きく変わってきます。

 このように、表示される数値の定義を正しく理解しておくことが、効果的な分析の第一歩です。自社のクリック率が高い・低いを判断する前に、まずは「その数値は何を意味しているのか?」を確実に把握しておきましょう。

WiLL Mailにおけるクリック率の定義とレポート表示

 WiLL Mailのクリック率は、CTR(クリック率 ÷ 配信成功数)による集計で、分析レポート画面に標準で表示しています。

 クリック数のカウント方法については、ユニーククリック数(リンクをクリックした人数)で集計されるため、どれだけの読者が実際に反応したかを正確に把握することができます。

 分析レポート画面は、クリック率、開封率、CV率、クリック箇所などの指標が視覚的に整理されたUIで表示され、「どのリンクが多くクリックされたか」「前回と比較してどう変わったか」「件名や配信タイミングの最適性」など、メール改善のヒントが得やすい設計になっています。

分析画面イメージ

まとめ

 いかがでしたか。クリック率(CTR)の正しい定義を理解し、適切に読み解く力を持つことは、メール施策の効果測定の精度を高め、成果を向上させるための強力な武器になります。

 まずは、自社のメール配信ツールで「クリック率がどのように定義・表示されているのか?」を確認するところから始めてみましょう。

 そのうえで、配信結果を継続的に記録・比較していくことで、自社にとってのベンチマークや、改善への具体的なアプローチがきっと見えてくるはずです。

 WiLL Mailでは、無料トライアルをご用意しています。使い勝手や、レポートの見え方が気になる方は、ぜひ一度お試しになってみてください。

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