「送信したメールが受信者に届かない…」
企業のメールマーケティング担当者にとって、これは見過ごせない問題です。時間をかけて作成したメールキャンペーンも、受信者のもとに届かなければ、開封やクリックが得られず、ビジネスチャンスそのものを逃してしまうことになります。
「メールのエラー率が高い」「開封率が急激に下がった」「受信者から問い合わせが相次いだ」・・・このような異変を感じたら、早急に原因を特定し、対策を講じる必要があります。
しかし、メールが届かない原因は一つではありません。送信者側の設定、IPアドレスの評価、配信リストの品質、メールコンテンツなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っている可能性があります。
そこで本記事では、「メールが届かない原因を改善するための6つのチェックリスト」をご紹介します。各項目ごとに、原因の概要、具体的な確認方法、そして実行しやすい改善策をわかりやすく解説しています。
一つずつ項目を確認し、受信者に確実にメールが届く環境を整えましょう。
大量メール配信に対応した信頼の配信実績! |
【目次】
送信者ドメイン認証(SPF、DKIM、DMARC)は、受信者側のメールサーバーが「このメールが正当な送信元から送られたものであるか」を検証するための仕組みです。
もし、これらの認証設定が導入されていない、または正しく設定されていない場合、たとえ正当なメールであっても、「なりすまし」や「メール改ざん」の可能性を疑われ、迷惑メールフィルターに検知されたり、メールがブロックされる可能性が高くなります。
各認証方式について
認証方式 | 説明 |
---|---|
SPF | メール送信を許可するIPアドレスをDNSに登録し、送信元ドメインの正当性を確認します。 |
DKIM | メール送信時にデジタル署名を付与し、送信者のなりすましや改ざんがないことを確認します。 |
DMARC | SPFとDKIMの認証結果を統合し、送信者ドメインの正当性をより確実に確認します。 |
SPF、DKIM、DMARCの3つが正しく設定されているかを確認するには、実際にGmail宛にテストメールを送信し、Gmailのヘッダー情報を確認する方法が簡単で信頼性も高いためおすすめです。
確認手順
主な認証結果の説明
認証結果 | 説明 |
---|---|
PASS | 認証が正しく設定されている状態 |
FAIL / SOFTFAIL | 認証に失敗している状態 |
NONE | 設定が全くされていない状態 |
※レコードに記述ミスがある場合は、認証結果は「FAIL」になる可能性が高いです。
その他、外部ツール(MXToolboxやGoogle Admin Toolbox CheckMXなど)を使用して、さらに詳細に検証することもできます。
SPF、DKIM、DMARCの認証結果に問題がある場合、まずは社内のメールサーバー管理者に相談し、各レコードの設定内容を確認してもらいましょう。
併せて、使用しているメール配信システムが提供するドキュメントやマニュアルも参照し、正しく設定が行われているか、設定漏れや記述ミスがないかをチェックします。
改善点が見つかった場合は、修正・再設定を行い、テストメールを送信して、認証結果が「PASS」になっているかを確認します。(設定の反映には時間が掛かる場合があります。)
それでも問題が解消されない場合は、メール配信システムのサポート窓口や、DNS設定を管理している外部サービス事業者に相談をしましょう。
IPアドレスの評価とは、メール送信元のメールサーバーに割り振られたIPアドレスに対して、受信側のメールサーバー(ISP)が行う信頼性の評価です。
もし、IPアドレスの評価が低い場合、「迷惑メールフォルダに振り分けられる」「メールが遅延する」「メールがブロック・削除される」といった問題が発生します。
ISPが評価する主な基準
ISPはIPアドレスの評価を直接公表しないため、以下の方法で間接的に評価状況を確認・推測します。
1. メール配信システムのレポートを確認
メール配信システムの送信レポートから、「エラーメールの件数と原因」「エラーメール率の急激な変動」「メール送信量の急激な増加」などを確認します。これらのデータに異常がある場合、IPアドレスの評価が低下している可能性があります。
2. 外部公式ツールを活用する
GoogleやMicrosoftが提供する公式ツールを活用することで、IPアドレスの評価や関連するデータを確認することができます。
ツール名 | 説明 |
---|---|
Google Postmaster Tools | Gmail宛に送信されたメールの、IPアドレスの評価、迷惑メール率、エラーメール率などを確認できます。 |
Microsoft SNDS | Outlook宛に送信されたメールの、エラーメールの発生率、迷惑メール報告率などを確認できます。 |
※メール配信システムを利用している場合、GoogleやMicrosoftのツールでは直接自社のIP評価を確認することはできません。そのため、IPアドレスを適切に管理している信頼性の高いメール配信システムを選ぶことが重要です。当社提供の「WiLL Mail」は、IP評価の維持・管理を適切に行っています。
低下したIPアドレスの評価を改善するためには、まずエラーメール率を減少させることが重要です。原因が特定できたエラーについては、迅速に対応し、問題を解消します。
ただし、一度評価が低下した場合、すぐに元に戻るわけではありません。そのため、継続的にエラーメールの状況を監視し、メール配信の品質を維持・向上させる必要があります。
ブラックリストとは、迷惑メールの送信元として認識されたIPアドレスやドメインが登録されるデータベースのことです。受信側のメールサーバー(ISP)は、メール送信元のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていないかを確認し、迷惑メールかどうかを判定しています。
もし、メールの送信元がブラックリストに登録されている場合、受信側のメールサーバーは「危険な送信元」として認識するため、送信したメールが届かなくなる可能性が非常に高くなります。
ブラックリストに登録される主な原因
通常、ブラックリストには、迷惑メールの送信元や、ウイルス・マルウェアなどを送信する危険な送信元が登録されます。しかし、正当なメールを送信している場合でも、何らかの理由で誤ってブラックリストに登録されてしまうことがあるため、注意が必要です。
主なブラックリスト管理団体
これらの団体が管理するブラックリストに登録されると、ほとんどのメールが届かなくなると言われています。また、各ISPも独自のブラックリストを作成・管理しています。
ブラックリストへの登録状況は、外部の確認ツールを使用することで、簡単にチェックすることができます。
主なブラックリスト登録確認ツール
ただし、メール配信システムを使用している場合は、送信元のIPアドレスはシステム側が提供する「共有IP」または「専用IP」であるため、ブラックリストへの登録状況は自社で直接確認することはできず、システムのサポートを通じて確認してもらう必要があります。
ブラックリスト登録の兆候としては、送信したメールが急激に大量に届かなくなることが挙げられます。この場合、まずはメール配信システム側の障害情報や運用状況を確認し、必要に応じてサポートに連絡して問題の詳細を確認することが重要です。
※当社提供の「WiLL Mail」では、主要ブラックリストについてリアルタイムで監視し、IPアドレスがブラックリストに登録されないように万全の対策を講じています。
万が一、自社のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されしまった場合は、以下の手順で解除申請を行いましょう。
メール配信システムを使用している場合、一般的に共有IPを利用しているため、他の利用者のメール配信が原因でブラックリストに登録されることがあります。逆に言うと、自社のメール配信が原因で他社に迷惑をかける可能性があることを理解しておく必要があります。
そのため、ブラックリスト登録のリスクを最小限に抑えるためには、IPアドレスの品質管理が徹底されている、信頼のできるメール配信システムを選ぶことが重要です。
健全なメール配信リストを使用しないことが、迷惑メール判定や、ブラックリスト登録の原因になることがあります。
例えば、購入したリストや無断で収集したリスト、古くて無効なアドレスが多いリストを使用すると、受信者からの迷惑メール報告や、エラーメールが増加する可能性が高くなります。このような行為は、送信元IPアドレスの評価を低下させ、正常なメール配信ができなくなるリスクを高めます。
さらに、迷惑メール報告やエラーメールが増えることで、ブラックリストに登録されるリスクも増大します。そのため、質の低いリストを使用することは、企業にとって非常に危険な行為であることを十分に認識し、リストの品質を高く保つことが極めて重要です。
健全なメール配信リストを使用しているかどうかは、以下の方法で確認することができます。
1. エラーメールの内容を確認する
メール配信システムの送信レポートから、エラーメール件数やその原因を確認します。エラーメールが多く発生しており、特に永久的なエラーが多い場合は、リストの品質が低い可能性があります。
2. 受信者の反応を確認する
開封率、クリック率、配信停止率などのレポートを確認し、受信者の反応を把握します。反応が悪い場合、リストの品質が低い可能性があります。
3. リストの収集方法を確認する
リストに登録されているメールアドレスをどのように収集したのか再確認します。未承諾のアドレスや、入力ミスのアドレスが登録されている場合、アドレスの収集方法を見直す必要があります。
健全なメール配信リストを維持するためには、以下の方法で改善を行いましょう。
1. 許可を得たアドレスのみリストに追加する
メール配信リストに追加するアドレスは、必ず受信者の許可を得たものだけを使用しましょう。
2. ダブルオプトインを採用する
リストへのアドレス登録を「仮登録」→「本登録」の二段階で行うダブルオプトインを採用することで、メールの受信を本当に希望していることを確認できます。また、入力ミスで無効なアドレスが登録されるのを防ぐこともできます。
3. 会員登録時のフローを見直す
会員登録の際に、ユーザーが気づかないうちにメルマガ購読の同意を得ようとする行為は、配信リストの品質やサービスへの信頼を損なう可能性があります。特に、会員登録フォームで「メルマガ購読」にデフォルトでチェックを入れることは避けるべきです。代わりに、会員登録後に別途「メルマガ購読確認メール」を送信し、購読を希望したユーザーのみにメールを配信する仕組みを導入することをおすすめします。
4. 定期的にリストをクリーニングする
存在しないアドレスや、何度もエラーになるアドレスを定期的に確認して、リストから削除しましょう。メール配信システムの中には、無効なアドレスを自動的に配信停止にする機能が搭載されているものもあるため、こうした機能を活用してリストを健全に保ちましょう。
大量メール配信に対応した信頼の配信実績! |
メールの件名、本文、デザイン、HTMLコードなどに問題がある場合、受信者からの迷惑メール報告が増加したり、受信サーバーの迷惑メールフィルターに検知されやすくなります。
問題となるポイントは多岐に渡りますが、過剰なセールス表現、不自然な差出人名、配信停止ができないなど、受信者に不安を与えるような要素が多いと、受信者やISPの信頼が低下し、配信停止、迷惑メール報告、受信ブロックにつながる可能性が高くなります。
メールコンテンツの問題を特定するためには、以下の要素を一つずつ確認しましょう。
要素 | 説明 |
---|---|
差出人名 | 受信者がすぐに認識できる差出人名が設定されているか |
件名、本文 | 過剰なセールス表現が含まれていないか |
画像 | 画像のみで構成されていないか、画像の量が多すぎないか、画像容量が大きすぎないか |
添付ファイル | 添付ファイルの数・容量・種類は適切か |
リンク | リンク切れがないか、外部リンクが多すぎないか |
配信内容 | 受信承諾時の説明とは異なる内容を配信していないか |
HTMLコード | JavaScriptやiframeが含まれていないか、文字コードは適切か |
配信停止 | 配信停止の方法が提供されているか |
メール形式 | HTMLメールとテキストメールの両方をマルチパート配信しているか |
テスト実施 | テストメールを送信して、コンテンツの最終チェックをしているか |
※上記に該当すると必ず迷惑メール判定を受けるわけではありませんが、リスクは高まります。
メールコンテンツに問題が発見された場合は、速やかに該当箇所を修正しましょう。小さな問題でも積み重なると迷惑メール判定を受けるリスクが高まります。問題を放置せず、早期に対応することが重要です。
また、コンテンツ作成時の再発防止策を講じることも大切です。例えば、コンテンツ作成時に「トーン&マナーのルール」を策定し、チームメンバーが統一した基準でコンテンツを作成できるようにします。さらに、「テストメール送信」や「承認プロセス」を運用フローに組み込むことで、本配信の前に問題を発見し、修正することが可能です。
メールコンテンツの品質向上には、定期的な見直しと改善が欠かせません。リスクを最小限に抑えるためのルールを整え、受信者とISPに信頼されるコンテンツを継続的に提供することで、メール到達率の向上に繋がります。
Gmailの送信者ガイドラインとは、Googleが迷惑メール対策を目的に設定した、メール送信者向けの公式ルールです。このガイドラインを遵守することで、Gmailアカウント宛てのメールが届きやすくなります。
一方、ガイドラインに違反している場合、メールが迷惑メールフォルダに振り分けられたり、メールがブロックされるリスクが高くなります。もし、Gmailアカウント宛のメールで多くのエラーが発生している場合、ガイドライン違反が原因になっている可能性があります。
このガイドラインには、送信者ドメイン認証(SPF、DKIM、DMARC)の設定や、迷惑メール率の管理など、合計10個の要件が定められています。詳細は、以下の記事で解説していますので、併せてご確認ください。
まずは「Gmail送信者ガイドライン」で定められた要件を一つずつ確認し、それらの条件を満たしているかどうかを確認しましょう。特に以下の項目は、ガイドラインに沿って確認すべき重要なポイントになります。
1. Gmailアカウント宛の送信規模を確認する
ガイドラインには、「すべての送信者要件」と「1日5,000件以上のメール送信要件」の2つの基準が設けられています。まず、配信リストに含まれるGmailアカウント宛の送信規模を確認し、適用される条件を明確にしましょう。
2. 送信者ドメイン認証の設定を確認する
SPF、DKIM、DMARCが正しく設定されているか確認しましょう。これらの認証はガイドラインの中でも特に重要な要件であり、設定が不十分な場合、メールが届かないリスクが急激に高まります。
3. 迷惑メール率を確認する
Googleが提供するPostmaster Toolsを使い、迷惑メール率がガイドラインで定められている「0.3%未満」に保たれているかを確認しましょう。また、メール配信システムでのエラーメール率を確認し、問題の全体像を把握することも大切です。
ガイドラインに違反している箇所が発見された場合、速やかに修正を行いましょう。特に、DNSの設定など専門的な知識が求められる部分は、社内のメールサーバー管理者やメール配信システムのサポートと連携し、確実に対応することが重要です。
迷惑メール率やエラーメール率が問題になっている場合は、データを慎重に分析し、必要に応じてメール配信リストの見直しや、メールコンテンツの改善を行う必要があります。
また、ガイドラインを遵守するためには、定期的な確認を習慣化し、問題を早期に発見できる体制を整えておくことが大切です。さらに、ガイドラインは更新されることがあるため、公式情報を定期的に確認することも忘れずに行いましょう。
メールが届かない原因はさまざまですが、今回ご紹介した「6つのチェックリスト」を活用することで、問題を特定し、解決に導くことができます。
[ 6つのチェックリスト ] |
これらの項目を定期的にチェックし、改善策を実行することで、より効果的なメールマーケティングが可能となり、顧客や読者への確実なアプローチを実現できます。
大量メール配信に対応した信頼の配信実績! |