メルマガ開封率はどう見るべき?MPP後の変化と、実務での活かし方・改善ポイント

メルマガ開封率は意味がない?MPP後の正しい見方と改善ポイント

 Appleのメールプライバシー保護(MPP)の導入以降、メルマガの開封率について「以前ほど精度高く判断しづらくなった」と感じる場面が増えてきました。とくにApple Mail経由の開封が従来どおりに計測できないことで、開封率だけで配信結果を評価するのが難しくなったのは確かです。

 一方で、だからといって開封率が”役に立たない指標”になったわけではありません。多くのメール配信システムで開封率が今も主要指標として表示されているのは、運用の現場で状況把握のきっかけとして活用できる場面が残っているからです。

 本記事では、MPP以降の変化を前提に、メルマガ開封率をどのように捉え、どの指標と組み合わせて判断し、改善につなげるかを実務者の視点で整理します。到達率やセグメント、件名・プリヘッダーの見直し、KPI設定の考え方、多指標での成果判断まで、目次の流れに沿って具体的に解説します。

 「開封率の扱いに迷っている」「以前ほど自信を持ってレポートを読めない」と感じている方が、あらためて指標を”使える形”に整えるためのヒントになれば幸いです。

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はじめに|メルマガ開封率への誤解と、いまも残る実務的な価値

 Appleのメールプライバシー保護(MPP)によって、メルマガの開封率の捉え方は大きく変わりました。以前のように「開封率=どれだけ読まれているか」と単純に判断しにくくなり、開封率の信頼性が揺らいでいるのは間違いありません。

 Apple Mailでは、ユーザーの設定によってメール本文の読み込みが自動的に行われる場合があります。その結果、実際にはメールを開いていないのに「開封した」と集計されるケースがあり、開封率が実態より高く表示されることがあります。

 そして、この変化をきっかけに「開封率を見てもあまり意味がない」「クリック率やCV率を重視すべきだ」という考え方が広がっているのも事実です。

 ただし注意したいのは、開封率を「価値のない指標」として完全に切り捨ててしまうことです。開封率は成果を直接示す指標ではない一方で、運用の異変にいち早く気づくための手がかりとして、いまも実務で活用されています。

 本記事では、メルマガ開封率に関するよくある誤解を整理したうえで、開封率を実務でどう扱えば改善のヒントとして活かせるのかを、わかりやすく解説していきます。

 次章では、海外ではメルマガ開封率がどのように位置づけられているのかを、最新のベンチマークをもとに整理します。

メルマガ開封率は海外ではどう評価されているのか?

 MPPの影響によって、開封率の信頼性が揺らいだのは海外でも同じです。実際、海外でも「開封率だけを成果指標として使うのは難しくなった」という認識が強まっています。

 たとえば、HubSpotが公開している業界別メール開封率をまとめた記事でも、開封率は以前ほど正確な指標ではなくなりつつある点に触れたうえで、クリック率やCV率がより重視されるようになっているという方向性が示されています。

 一方で、開封率が「価値のない指標」として完全に切り捨てられてはいません。HubSpotの記事内では、最新の業界別の開封率ベンチマークが掲載されており、参考値として扱われ続けていることがわかります。

業界別メール開封率のベンチマーク(2025年)

全業界平均:42.35%
小売:38.58%
B2Bサービス:39.48%
非営利:46.49%
SaaS:38.14%
ホスピタリティ・旅行:45.21%

参照元:HubSpot|Email marketing benchmarks by industry (+ email open rate data)

 つまり海外では、開封率を成果指標として過信するのではなく、MPPの影響を理解したうえで参考値として扱いつつ、クリック率やCV率などの他の指標と組み合わせて判断する方向へシフトしていると言えます。

※上記の開封率数値はあくまで海外の参考値です。海外と日本では運用の前提条件が異なる場合も多く、単純比較は誤った判断につながる可能性があります。

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なぜメルマガ開封率だけでは不十分なのか ー CTR・CVRとの関係を整理する

 すでに触れた通り、開封率が価値のない指標になったわけではありません。開封率だけで結論を出すのは難しくなっています。そのため、複数の指標と組み合わせてメルマガの成果を正しく捉える視点が、メルマガ担当者には求められるようになっています。

 ここでは、代表的な3つの指標「開封率」「クリック率(CTR)」「CV率(CVR)」を組み合わせて見たときに、何が読み取れるのかを整理します。

開封率・クリック率・CV率の関係をざっくり俯瞰する

 メルマガ運用を一連の流れで捉えると、次のように整理できます。

  1. 開封率:メールを開いた人の割合
  2. クリック率(CTR):クリックした人の割合
  3. CV率(CVR):成果につながった人の割合

 「そんなことはわかっている」と思われた方も多いかもしれません。ただ、それぞれの指標がつながっていることを意識して見られている方は、意外と少ないのではないでしょうか。

 実務で分析を行う際に、各指標を単体では見ていても、それぞれを組み合わせて分析する視点は抜けてしまいがちです。3つの指標を並べて見ることで、「どこで数字が落ちているのか?」「何を点検すべきか」を切り分けやすくなります。

よくある分析パターン(開封率・クリック率・CV率)

 開封率、クリック率、CV率の上下を組み合わせて見ることで、単一の指標だけでは気づきにくい改善のポイントが見えてきます。

 以下に、指標の組み合わせから読み取れる代表的な分析パターンをまとめました。本表では「↑:上昇(改善)」「↓:低下(悪化)」「→:横ばい(大きな変化なし」を示しています。

開封率 クリック率 CV率 何が読み取れるかの分析例
入口から悪化。到達率や件名、配信対象のズレ、リストの劣化など「全体」が崩れている可能性
開く人は減ったが、反応する人は変わらない。配信対象の変化・季節要因・件名/差出人の影響など
開く人はいるが行動しない。本文・訴求・導線・CTAの問題が疑わしい
クリックまでは同じだが成果が落ちた。LP/フォーム/商品条件などメールの外側の問題かも
件名は強いが中身が弱い(期待値のギャップ)。またはクリック導線が弱い
開く人は減ったが、開いた人の質が高い。リスト整理やセグメント改善が効いている可能性
メールは良いが着地(LP)で落ちている。オファーや導線の再確認が必要
件名改善が効いた可能性。ただし成果が伸びないならメール本文やLP改善が課題

※各指標の上下は、前回配信比や通常水準比で「傾向」として捉えると判断しやすくなります。

メルマガ開封率は何を見る指標なのか?成果指標ではない“正しい役割”

 前章では、開封率・クリック率・CV率をセットで見ることで、メルマガの改善ポイントが見つけやすくなることを確認しました。

 では、これらの指標を並べて見たときに、開封率はどんな役割を担っているのでしょうか。まず押さえておきたいのは、開封率は売上や問い合わせといった成果を直接示す指標ではないという点です。

 その一方で開封率は、メルマガが「届いているか」「開かれているか」といった入口の状態を点検するための指標として、いまも活用できます。実際メルマガ運用の現場では、開封率は「最初の異変に気づくための指標」として参照されることが多いからです。

 たとえば、開封率がいつもよりも大きく低下した場合、そこには何らかの原因があるはずです。

  • エラーメールが増えている
  • 迷惑メールフィルタに検知されやすくなった
  • 配信リストの質が低下している
  • 件名や差出人名の印象が弱い
  • 配信頻度が高すぎて読者に飽きられている

 こうした原因は、主に「届き方」や「開かれ方」といった、メール配信の入口に関わる部分で起きやすいものです。そして入口に問題があれば、その後のクリック率やCV率にも悪影響が出やすく、結果としてメルマガ全体の成果を低下させることにつながります。

 もちろん、開封率が高いからといって必ず成果が出ているとは限りません。反対に、開封率が低いからといって失敗だと決めつけるのも早計です。だからこそ、複数の指標と組み合わせて状況を整理しながら、改善ポイントの優先順位を決める視点を持つことが重要です。

 次章では、こうした入口の状態を安定させるために、開封率を改善・安定させるための具体的な見直しポイントを解説します。

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メルマガ開封率を改善・安定させるために見直すべき3つのポイント

 開封率が大きく低下した場合は、「そもそも届いていない」「開かれずに無視されている」といった、入口の問題が起きている可能性があります。

 ここでは、メルマガの開封率を改善・安定させるために、実務者がまず見直すべき3つのポイントを紹介します。

1. メール到達率

 開封率改善で見落とされがちなのが、メールが読者の受信フォルダに正しく届いているかという前提です。

 いくら件名やコンテンツを工夫しても、迷惑メールフォルダに入ってしまったり、エラーが発生してそもそも届かない状態では、開封されようがありません。

 特に開封率が急激に下がった場合は、まずメール到達率に関する問題を疑うのが基本です。まずは、以下の点を確認してみましょう。

  • 配信エラーが増えていないか
  • 迷惑メール判定が増えていないか
  • 特定ドメイン宛(例:Gmailなど)でエラーや不達が増えていないか

 もし到達率に問題がありそうな場合は、原因を切り分けたうえで、メール認証設定の見直しや、配信リストの健全化、配信頻度や配信内容の調整などを行う必要があります。

 開封率は、ついメールの中身に問題があるように見えてしまいがちですが、実際には到達率の影響を強く受けます。まずは到達率を安定させることが、開封率改善の土台になります。

2. 配信リストのセグメント設定

 開封率改善で次に確認すべきなのが、「誰に送っているか」という点です。配信リストのセグメントによって、開封率は大きく変わります。

 たとえば、興味関心が異なる読者に同じ内容のメルマガを一斉配信している場合、一定数の読者は「自分には関係ない内容だ」と判断し、件名を見た時点でスルーしてしまいます。

 この状態が続くと、たとえメール自体が正常に届いていても、開封率は安定せず、少しずつ下がっていくことがあります。

 そのため、開封率を改善・安定させるためには、配信リストを適切なセグメントに分け、それぞれの読者に関連性の高い情報を届けるように設計していくことが重要です。

◎セグメント分けの例

  • 見込み客/既存顧客で分ける
  • アクティブユーザー/休眠ユーザーで分ける
  • 資料請求や問い合わせなどの行動履歴で分ける
  • メールの開封やクリック履歴で分ける
  • 過去の購入頻度や購入金額で分ける

 セグメントを絞ることで、読者にとって価値のある情報を届けやすくなり、開封率のブレも小さくなります。あわせて、配信セグメントは定期的に見直し、常に最新の状態に保つことも重要です。

3. 件名・プリヘッダーテキスト

 メールが読者の受信フォルダに届き、セグメント設定も適切だった場合でも、開封されるかどうかは最後の一瞬で決まります。ここで影響するのが、件名とプリヘッダーテキストです。

 件名は「メールを開く理由」を提示し、プリヘッダーテキストは「件名を補足する」役割を担います。読者は受信フォルダに並ぶ複数のメールの中から、どのメールを開くべきか、自分にとって価値があるかを瞬時に判断します。

 件名やプリヘッダーテキストは、配信セグメントとメール内容に合わせて、読者の立場を想像しながら言葉を選ぶのがコツです。

件名作成のポイント

 件名は強い訴求ワード(無料、限定、先着など)を入れて目立たせることが正解とは限りません。メールの内容が一目でわかり、開くメリットが想像できるかが重要です。

  • 誰向けの内容かが伝わる(例:「◯◯な方向け」「◯◯様におすすめ」)
  • 得られるメリットが伝わる(例:「3つの改善ポイント」「確認すべきチェック項目」)
  • 重要なキーワードは前半に入れる(スマホ表示を意識する)

 近年は迷惑メールが増えていることから、売り込み色の強い訴求ワードばかりを使った件名は、読者に警戒される可能性もあります。使ってはいけないわけではありませんが、過度な表現や使い過ぎには注意しましょう。

プリヘッダーテキスト作成のポイント

 プリヘッダーテキストを設定しない場合は、メール冒頭のテキストが自動的に表示されます。そのため、意図しないテキストが表示されてしまうことがあります。

 たとえば、「メール正しく表示されない場合はこちらをクリック」といった定型分が表示されると、受信フォルダでの第一印象を損ねてしまう可能性があります。

 せっかくの表示スペースなので、件名とセットで「メールを開く理由」を後押しできるテキストを入れるのが効果的です。

  • 件名で伝えきれないメリットを補足する
  • 本文の結論を先出しして興味を引く
  • パーソナライズテキスト(例:「◯◯様におすすめの商品をご紹介」)

 件名とプリヘッダーテキストは、開封率改善に直結しやすい要素でが、効果を正しく検証するためには、土台となる到達率と配信セグメントが整っていることが前提になります。

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ベンチマークは目標ではない ー メルマガ開封率のKPIで失敗しない考え方

 前章で紹介した通りメルマガ開封率には業界別のベンチマークが存在します。ただしそれらの数値には、配信の前提条件(リストの質・配信対象・到達率・配信頻度など)の違いが必ず含まれるため、自社の状況と完全に一致するとは限りません。

 そのため、メディア等で紹介されている開封率ベンチマークは、「この数値を目指そう」という目標ではなく、自社の現在地を把握するための目安として捉えておきましょう。

 単純に他社のベンチマークと比較していても、判断のブレが大きく、改善の方向性を見つけることも難しくなります。

 実務の現場で本当に重要なのは、自社の開封率が普段どの水準で推移しているかを把握し、通常の水準から上がった/下がったを追跡することです。

 この基準を持っておくことで、開封率の変化を「良い変化なのか」「危険な兆候なのか」を判断しやすくなります。

開封率KPIでよくある失敗例

 ここでは実務でありがちな「開封率のKPI設定の失敗例」を紹介します。

△失敗例:開封率だけを目標にしてしまう
例)「開封率を30%以上にする」「今月中に開封率を+10%増やす」

 このようなKPIの設定は、一見シンプルでわかりやすいのですが、実務では次のような問題が発生しやすくなります。

  • 数字を上げることが目的になってしまう
  • 件名の煽りが強くなり、本文の内容とズレが生じる
  • 反応の薄いユーザーを除外しずぎて配信規模が縮小する
  • 開封率以外の指標(CTR、CVR)が悪くても改善したと錯覚する

 開封率はあくまでも入口の状態を点検する指標です。単独で追跡しすぎると、メルマガ全体の成果が見えにくくなる点に注意が必要です。

正しい開封率KPIの考え方と設定例

 開封率のKPIを設定する場合は、目標値の達成を追いかけるよりも、次のような考え方をもとに設計する方が現実的です。

◎開封率KPIを設定するための考え方

  • 通常水準(直近◯回平均)から大きく下がらない状態を維持する
  • 開封率の通常水準は、全体とセグメント別(例:既存顧客/見込み客)に追跡する
  • 開封率が急落した場合は、異変として到達率やリストを優先的にチェックする

◎開封率KPIの設定例

  • 開封率が通常水準より「-5pt」以上下がったら原因調査をする(例:25%→19%)
  • セグメント別の基準を決め、基準を下回った場合は配信内容を見直す(例:既存顧客は-5pt、見込み客は-10ptなど)
  • 開封率が通常水準より「+5pt」以上改善したらCTRやCVRの変化も一緒にチェックする

 こうしておくことで、開封率は目標値を達成するための指標ではなく、メルマガ運用を安定させるためのチェック指標として機能します。

メルマガ開封率で終わらせない ー 多指標で判断するメルマガ成果の見方

 メルマガ運用では、開封率やクリック率を改善すること自体は重要です。ただし、それらの数値が良くなったとしても、最終的な成果(コンバージョン)につながっていなければ、メルマガ施策としては「もう一歩の惜しい状態」で止まってしまっています。

メルマガ経由でWebサイトを訪れたユーザーが、

  • 記事やLPを最後まで読んだ
  • 資料請求や問い合わせをした
  • 購入や申し込みをした

といった行動を取ることで、はじめてメルマガの成果として説明しやすくなります。

 そして「開封率やクリック率は悪くないのに、CVが伸びない」という場合、その原因がWebサイト側にある可能性も考えなくてはなりません。

たとえば、

  • LPの訴求が弱く、ユーザーの興味を惹けていない
  • フォーム設計が悪く、入力途中で離脱されている
  • スマホで見づらい・操作しづらい

このような「メールの外側」の要因が、成果を止めているケースは少なくありません。

 だからこそメルマガ運用は、開封率やクリック率だけで完結させずに、「メール経由でWebサイトを訪れたユーザーの行動」まで含めて確認できる状態を整えておくことが重要です。

 さらに、CV改善を進めるには、Webサイト側の調整が必要になることも多くあります。そのためメルマガ担当者は、メール配信システム側の分析データを活用しながら、Web担当者と連携して改善を進められる運用体制を築いておくと、成果改善のスピードが変わってきます。

 GoogleアナリティクスなどのWebアクセス解析とあわせて確認できれば、「メール側を直すべきか」「Web側を直すべきか」の切り分けもしやすくなり、改善の議論も進めやすくなります。

まとめ|メルマガ開封率をどう捉え、どう使うべきか

 Appleのメールプライバシー保護(MPP)の影響により、メルマガ開封率は以前のように「読まれた量」を正確に測る指標ではなくなりました。

 しかしそれでも開封率は、メルマガ運用の入口で起きている異変に気づくための指標として、いまでも十分に活用できます。

 重要なのは、開封率を成果指標として扱うのではなく、自社の通常水準をもとに変化を追跡し、メール到達率・配信セグメント・件名やプリヘッダーなど、改善すべきポイントを切り分けるために活用することです。

 そして、最終的な成果は、開封率やクリック率で終わらせずに、必要に応じてメールの外側(LPやフォームなど)にも目を向けながら、CV改善につなげていく視点が欠かせません。

 開封率は「見ても意味がない指標」になったのではなく、役割を変えて使うべき指標になったと言えます。本記事で紹介した考え方をもとに、開封率を正しく扱えるメール運用へアップデートしていきましょう。

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