メール配信でおさえておきたい7つのセキュリティ対策

 今日、メールマーケティングは、あらゆる企業のマーケティング戦略の中で重要な役割を果たしています。高いROI(投資収益率)を可能にするメールマーケティングの有効性から、多くの企業がメールを積極的に活用し、週に何通ものメールを読者に送っています。

 しかしながら、企業がメールマーケティングを積極的に活用しているということは、ハッカーなどのサイバー犯罪者も熟知しています。企業のメール配信を標的にして、個人情報データを盗んだり、不正アクセスを行うなどの脅威も急増していることを忘れてはなりません。

 そのため、メールマーケティング担当者は、メール配信時に起こり得る脅威を把握し、適切なセキュリティ対策を講じることが必要不可欠となっています。本記事では、メール配信でおさえておきたい7つのセキュリティ対策をご紹介します。

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メール配信で起こり得る脅威とは

 皆さまが、読者にメールを送信するたびに、ハッカーやウィルスが入り込む危険性があります。大規模なメール配信であれば、その危険性は飛躍的に高まります。まずはメール配信時に起こり得る4つの脅威について把握しておきましょう。

迷惑メール

 迷惑メール(スパムメール)は、最も典型的な脅威のひとつです。一方的に大量の広告メールを送りつけ、巧妙な謳い文句で、商品ページなどへの誘導リンクをクリックさせようとします。

 では、これらの迷惑メールが、企業のメール配信に与える影響とは一体何でしょう?誠実な内容のメールを送っているメールマーケティング担当者であれば、自分には関係の無い問題だと思うかもしれませんが、実はそうではありません。

 ある日突然、送信したメールが迷惑メールフォルダに振り分けられてしまったり、後述するスプーフィングによって、あたかも皆さまの企業から悪質な内容の迷惑メールが送信されたように偽装されてしまう危険性もあります。

スプーフィング

 スプーフィングとは、「なりすまし」を意味し、メール送信者の身元を偽って送信されるメールのことです。具体的には、メールを送信するIPアドレス、メールアドレス、差出人名などが偽装されます。

 例えば、読者がよく知っていそうな実在する企業やブランドを装ったメールを送信し、読者を騙して、偽のWebサイトで買い物をさせたり、機密情報を入力させようとするフィッシングサイトへ誘導しようします。

 スプーフィングは、企業やブランドが長年を掛けて築き上げてきた、信頼やイメージを失墜させる危険性があります。

フィッシング

 フィッシングは、ユーザーの個人情報、銀行・クレジットカード番号などの機密情報、Webサービスにログインするための認証情報などを悪用目的で盗み出そうとする犯罪行為です。

 ユーザーだけでなく、企業側にも大きな打撃と不利益をもたらす可能性があります。例えば、盗み出したログイン情報を使って、ユーザーになりすまし、企業のWebサービスに侵入し、企業の機密情報を盗み出したり、企業が脆弱になるような攻撃を仕掛けてきます。

 フィッシングは、スプーフィングされた偽装メールをユーザーに送信し、本物そっくりに偽装されたWebサイトへ誘導することで行われます。その手口は、年々巧妙化しており、ユーザーは本物と偽物を区別することが難しくなっています。

マルウェア

 マルウェアとは、コンピューターウイルス、ワーム、トロイの木馬、スパイウェアなど、ユーザーのデバイスに損害をもたらす悪意のあるソフトウェアの総称です。

 マルウェアの感染経路は、メールの添付ファイル、悪意のあるリンクをクリック、不正なソフトやアプリのインストール、ネットワーク経由などが考えられます。

 マルウェアによって、メール配信システムがハッキングされたり、破壊されたりした場合、個人情報の漏洩や、企業の機密情報が盗み出されたり、メールマーケティング全体が破壊される可能性もあります。

メール配信でおさえておきたい7つのセキュリティ対策

 メールマーケティング担当者が対処すべき脅威をご理解いただけたかと思いますので、ここからは、メール配信における具体的なセキュリティ対策について解説していきます。

1. 送信元アドレス認証

 メールの送信元アドレス(ドメイン)を認証する規格である、「SPF」「DKIM」「DMARC」を利用することで、スプーフィング(なりすまし)を防止することができます。スプーフィングを防止することにより、スパム、フィッシング、マルウェアの被害防止にもつながります。

 メールマーケティング担当者は、メールのセキュリティを強化するために、メール認証規格について把握しておく必要があります。「SPF」「DKIM」「DMARC」の3つのメール認証規格については、以下の記事で詳しく解説しています。

2. 送信メールの暗号化

 メールマーケティングに利用されるメールには、個人情報データが多数含まれているため、細心の注意を払ってメールを保護する必要があります。

 悪意のあるハッカーは、メールの送信サーバーから、メールの受信サーバーの間に侵入し、機密情報を盗み出そうとしたり、メールの内容を改ざんしようとします。そのため、メールの受信者以外がメールの内容を読めないように、すべてのメールを暗号化する必要があります。

 メールを暗号化するには、メールサーバー間の通信をTLS・SSLで保護する「STARTTLS」という暗号化技術が一般的に使われています。メール配信システムを選ぶ際には、STARTTLSに対応しているかどうかを確認すると良いでしょう。

※STARTTLSによる暗号化は、メールの送信サーバー側だけでなく、受信サーバー側もSTARTTLSに対応している必要がありますが、Gmail、Yahooメール、Outlookなど主要なメールクライアントは、STARTTLSに対応しています。

3. 外部からの不正アクセス対策

 メールのハッキングは、被害受けたユーザーや企業が気がつかないうちに行われる危険性があります。ハッカーはメールマーケティングに使用するメール配信システムの認証情報を盗んだり、システムの脆弱性を突いて攻撃を仕掛けているため、システムをハッキングした兆候をなかなか見せません。

 ハッカーは、気づかれないようにシステムに侵入し、個人情報を盗み出したり、送信メールにマルウェアを仕込む手段を持っています。このような攻撃を阻止することはセキュリティ対策として非常に重要です。

 メールマーケティングで使用するメール配信システムが、第三者機関による脆弱性検査を実施していることや、ファイアウォール、IPS、WAFなどによる外部からの不正アクセスを検知する対策が取られているかを再度確認しておきましょう。

4. 定期的な内部チェックを行う

 マーケティングチームとして複数の人がメール配信に関わっている場合、メールマーケティング担当者は、セキュリティ対策として、内部から起こるリスクにも細心の注意を払う必要があります。

 情報漏洩の被害は、内部から発生する場合が多く、人為的なミス、あるいは意図的な行為による情報の漏洩です。内部から起こるリスクを減らすには、チームメンバー全員がメール配信のセキュリティ対策の重要性を十分に理解している必要があります。

 メンバー各々のパソコンに適切なセキュリティソフトがインストールされているかの確認や、定期的な勉強会や情報共有を行うようにしましょう。

 また、機密情報の安全性を保つためには、顧客情報のリストなど重要なデータへのアクセス権を制限するなどの対策が必要です。社内運用リスクに対するセキュリティ対策については、以下の記事で詳しく解説しています。

5. 迷惑メール対策を行う

 適切な迷惑メール対策を施した、質の高いメール配信を行うことは、セキュリティ対策としても重要な役割を果たしています。送信したメールが受信者に届くまでには、多くの迷惑メールフィルターを通過し、ハッカーはこの段階のメールを悪用しようと狙っています。

 ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)は増え続ける迷惑メールに対処するため、迷惑メールを感知するための迷惑メールフィルターを日々、強化・更新しています。そのため、適切な迷惑メール対策を取っていない場合、送信したメールが迷惑メールフィルターに引っ掛かり、読者にメールが届かなくなってしまう可能性があります。

 これは、誠実な内容のメールであっても十分に起こり得る問題です。この問題に対処するには、送信したメールが可能な限り本物であることを証明するための対策を講じる必要があります。具体的な対策については、以下の記事で詳しく解説しています。

6. 信頼できるメール配信システムを選ぶ

 メールマーケティング担当者がメール配信のセキュリティを確保するためにできる、最も簡単かつ重要なことは、信頼できるメール配信システムを選ぶことです。

 世の中には、メールマーケティングを行うための、様々なメール配信システムがありますが、それぞれのセキュリティには大きな違いがあります。メールマーケティング担当者が、いくら常識的なセキュリティ対策を取っていても、基盤となるメール配信システムのセキュリティが低ければ、重大なセキュリティ問題が発生する可能性があります。

 無料で提供されているメール配信システムの中には、ほとんどセキュリティ機能の無いものもありますので、しっかり確認する必要があります。メール配信のセキュリティ確保のための投資は惜しむべきではありません。なぜなら、ハッカーやウィルスによる被害は、より多くのコストが掛かるからです。

 どのメール配信システムを選択するかについては、企業の規模やニーズによっても異なりますが、適切なセキュリティ機能の搭載を選定の重要なポイントに上げて、安心して使用できるメール配信システムを選ぶようにしてください。

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7. 読者への注意喚起を行う

 読者がサイバー被害に合えば、メール経由で企業側にも何らかの被害が及ぶ可能性はあります。読者に対して、メールで起こり得る脅威についての注意喚起を積極的に行うことを検討しましょう。これは読者のためになるだけでなく、皆さまのメールマーケティングのセキュリティ対策にもなります。

 なりすましメール、フィッシングメール、マルウェアなどの迷惑メールの存在とそれらの見分け方、ウィルスソフトの重要性などについて、メール、ブログ記事、FAQ、免責事項などを使って、読者に伝えると良いでしょう。起こり得るリスクについて知っているからこそ対処ができるものです。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。メールマーケティング担当者が自社のビジネスと読者を守るために行うべき、メール配信のセキュリティ対策をご紹介しました。

メール配信でおさえておきたい7つのセキュリティ対策
1. 送信元アドレス認証
2. 送信メールの暗号化
3. 外部からの不正アクセス対策
4. 定期的な内部チェックを行う
5. 迷惑メール対策を行う
6. 信頼できるメール配信システムを選ぶ
7. 読者への注意喚起を行う

 今回ご紹介した内容を参考に、自社のメール配信のセキュリティ対策を再度見直してみてください。

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