

「メーリングリスト」と検索してこの記事にたどり着いた方の中には、「プロジェクトメンバーに一斉送信メールを送りたい方」もいれば、「顧客向けに一斉送信メールを送りたい方」もいるでしょう。
一見似ているように見えますが、実はこの2つは目的も仕組みもまったく異なります。
メーリングリストは本来、社内や小規模グループ内の情報共有に便利な仕組みであり、顧客向けの大量配信には向きません。顧客向けの配信には、専用の配信ツールを使うのが適しています。
本記事では、メーリングリストの基本的な仕組みや活用シーン、顧客向け配信には不向きな理由などを整理して解説します。
「純粋にメーリングリストを使いたい方」にも、「顧客向けのメール配信を考えている方」にも、役立つ内容になっています。
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【目次】
「Microsoft Teams」や「Slack」などのチャットツールが普及し、社内やプロジェクト間の連絡はメールから置き換わりつつあります。そのため、かつて盛んに使われていた「メーリングリスト」の出番は少なくなっています。
それでも今なお「メーリングリスト」と検索する人が多いのはなぜでしょうか?実はその多くが「顧客に向けてメールを送りたい」という目的で調べているケースなのです。
実際、「メーリングリスト」という言葉を「メルマガ用の配信リスト」のようなものだと考える方も珍しくありません。
確かにメーリングリストを使えば、複数の宛先に同じ内容のメールを一斉送信できます。一見すると顧客向けの配信にも使えそうに思えますが、実際には目的も仕組みもまったく異なります。
◎メーリングリスト
社内メンバーやプロジェクトチーム内など、小規模グループ内での連絡・情報共有が主な用途。
◎メール配信システム
顧客や見込み客など、数百〜数万規模の宛先に一斉メール配信や効果測定を行うための仕組み。
つまり、「顧客に向けてメールを送る手段」を探している場合、メーリングリストでは対応しきれず成果も得られません。逆に「社内連絡を効率化したい」のであれば、メーリングリストは今でも有効に活用できます。
まずは、この違いを正しく理解し、自分が求めているのはどちらなのかを整理してみましょう。
では、そもそもメーリングリストとはどんな仕組みなのでしょうか。ここでは、基本的な仕組みや規模感、一般的な作成方法について解説します。
メーリングリストとは、あらかじめ登録しておいた複数のメールアドレスに対して、同じ内容のメールを一斉送信できる仕組みです。
送信者は「メーリングリスト専用アドレス」にメールを送るだけで、登録メンバー全員に同じメールが自動配信されます。このとき、送信した本人にも同じメールが届くのが特徴です。
例えば、プロジェクトチーム用の「project-x@sapana.co.jp」というメーリングリストを作成し、その専用アドレス宛に1通メールを送信するだけで、チーム全員に同じメールが届きます。わざわざCCやBCCを個別アドレスを並べる必要はありません。
また、登録メンバーの誰かが届いたメールに返信すると、通常はその返信内容もメーリングリスト経由でメンバー全員に配信されます。つまり、掲示板やチャットのように、グループ全体でやり取りを共有できる仕組みになっています。
メーリングリストに登録できる人数は、利用するシステムやサービスによって異なります。中には登録数の制限がなかったり、数万件の登録が可能なものもありますが、それはあくまでも「登録できる」というだけの話です。
実際には、メーリングリストは、数名〜多くても100名程度の「社内」や「特定グループ」内での情報共有を前提として設計されています。数千〜数万規模の顧客向けに利用すると、迷惑メール判定を受けたり、サーバーが負荷に耐えられず、正常に機能しません。
したがって、「登録できるなら顧客配信にも使えるのでは?」という考え方は誤りです。メーリングリストは、あくまでも小規模グループ内での連絡手段として利用すべきものです。
メーリングリストを作成する方法は、主に以下の2つがあります。
1. 社内のメールサーバーで作成する
会社で利用しているメールサーバーやレンタルサーバーに備わっているML機能を使って作成する方法。
2. グループウェアの機能で作成する
Google Workspace や Microsoft 365などのグループウェアに備わっている機能を使って作成する方法。
どちらの方法についても「メーリングリスト専用アドレス」を作成し、リストに参加者のアドレスを登録して運用します。アドレスの追加や削除などの作業は、サーバー管理者やIT担当者が行うのが一般的です。
なお、本記事では具体的な作成手順は扱いません。企業のプロジェクト管理用などに正式なメーリングリストを作成したい場合は、社内の管理者やIT担当者にご相談ください。
Google Workspace や Microsoft 365をご利用の場合は、以下の公式ヘルプも参考になります。
・Google Workspace 管理者ヘルプ:「組織内にグループを作成する」
・Microsoft 365ヘルプ:「管理センターで配布グループを作成する」
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【注意】GmailやOutlookの簡易グループ機能は、正式なメーリングリストには適していない Gmailの「Googleグループ」や、Outlookの「連絡先グループ」など、個人アカウントで利用できる簡易的なグループ送信機能は、企業で正式に利用するメーリングリストには適していません。 その理由は以下の通りです。
したがって、企業でメーリングリストを利用する際は、メールサーバーや企業向けグループウェアに備わっている機能を利用するのが基本となります。 |
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ここでは、実際にメーリングリストがよく使われる利用シーンを紹介するとともに、仕組み上どうしても避けられない制約についても解説します。
メーリングリストは、同じ組織やプロジェクトに属するメンバー同士の情報共有の手段として広く活用されています。例えば、以下のような場面で活用されています。
◎社内での活用例
◎社外・小規模団体での活用例
専用アドレスに1通メールを送るだけで、グループ全員に情報が届くため、メール送信の手間を大きく減らせるのはもちろん、宛先の入力ミスや誤送信のリスクも抑えられるのが大きなメリットです。
実際の運用では、「数人〜数十人程度」の小規模グループで利用されるケースが大半です。
一方で、メーリングリストはシンプルな仕組みであるがゆえに、以下のような限界があります。
つまり、メーリングリストは「社内連絡」や「小規模グループ」であれば効率的に使えますが、大規模配信や顧客向けの配信には適していないということです。
次章では、その理由をさらに詳しく掘り下げていきます。
メーリングリストを顧客向けの配信に使ってしまうと、深刻なトラブルやリスクにつながる可能性があります。
顧客向けの配信に、メーリングリストを使うべきでない主な理由は以下の通りです。
| 理由 | 問題点 |
|---|---|
| 返信が全員に届く | 個人宛の返信や誤送信がメンバー全員に共有され、炎上や情報漏洩のリスクになる |
| 配信停止機能がない | 顧客が自由に配信停止できず、クレームや法令違反につながる |
| 迷惑メール判定を受けやすい | 顧客配信向けに設計されておらず、迷惑メール判定を受けやすい |
| アドレス管理が手作業 | 誤入力や重複登録、対応の遅れが起こりやすく、配信ミスや情報漏洩の原因になる |
| セキュリティが不十分 | メール認証、暗号化、アクセス管理、ログ管理などのセキュリティ機能が欠けている場合が多い |
| マーケティング機能がない | 効果測定レポート、セグメント配信、HTMLメール作成などができず、販促には不向き |
このように、メーリングリストを顧客向けの配信に利用するのはリスクが高く、マーケティングツールとしても効果的に機能しません。
つまり、「登録できるから使える」と安易に考えるのではなく、用途に応じてメーリングリストとメール配信システムを正しく使い分けることが重要です。
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両者の役割や特徴を、主要な8つの観点から比較しました。どちらを選ぶべきかを判断する際の参考にしてください。
| 項目 | メーリングリスト | メール配信システム |
|---|---|---|
| 1.主な用途 | 社内・小規模グループ内での情報共有 | 顧客や会員への一斉配信、マーケティング活用 |
| 2.想定規模 | 数人〜数百人程度 | 数百人〜数万人規模まで対応可能 |
| 3.配信の仕組み | 専用アドレスに送信→登録者全員に自動配信(返信も全員に届く) | 専用の配信エンジンからアドレスリストに一斉送信 |
| 4.アドレス管理 | 手作業で追加・削除・更新 | CSVファイルやデータベースで一元管理 |
| 5.配信停止機能 | 基本的に無し(管理者対応が必要) | 受信者自身で配信停止手続きが可能 |
| 6.セキュリティ機能 | 投稿制限、メンバー承認、添付ファイル制限などが中心 | メール認証、暗号化、アクセス管理、ログ管理など充実 |
| 7.費用 | 基本的に無料(サーバーやグループウェアに付属) | 有料(配信規模や機能に応じた料金プラン) |
| 8.マーケティング活用 | ほぼ不可 | 効果測定、セグメント配信、HTMLメール作成などに対応 |
このように、メーリングリストとメール配信システムは似ているようで、目的や仕組みは大きく異なります。社内連絡や小規模グループであればメーリングリスト、顧客向け配信やマーケティング施策にはメール配信システムといったように、目的に合わせて適切に使い分けることが重要です。
メーリングリストは、社内や小規模グループでの情報共有には便利な仕組みですが、顧客向けの一斉配信には適していません。リスクを避けるためにも、目的に応じて適切に選ぶ必要があります。
顧客への配信を検討している場合は、専用のメール配信システムを利用するのが適切な方法です。
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