【2023年版】font-familyの正しい指定方法・タイプ別おすすめフォント設定例

 この記事では、フォントを指定するためのCSSプロパティ「font-family」の書き方について一から詳しく解説します。font-familyを設定したことが無い方でも、正しくフォントが指定できるように、プロパティの書き方から、OSごとの設定の違い、おすすめのフォント設定例などもご紹介します。

 「font-familyはいつもコピペしている…」なんて方も、正しい知識が有るか無いかは大きな違いです。ぜひこの機会に、font-familyの正しい設定方法をマスターしてください。

※本記事は、各OSの標準インストールフォントや、ブラウザのアップデート状況などを踏まえて、なるべく最新の情報をお届けできるように、内容を随時更新しています。著者の調査した情報に基づいて執筆しているため、内容に間違いや不備のある可能性もあります。(最終調査日:2023年7月)

font-familyの役割とは

 CSSのfont-familyプロパティは、WebサイトやHTMLメールのフォントを指定するために使用されます。コンテンツの大半はテキスト情報であるため、指定したフォントによって、文章の可読性や視認性に大きな影響を与えます。そのため、意図したフォントで表示されるように、font-familyを正しく指定する必要があります。

 しかしながら、実際にユーザーの端末に表示されるフォントはユーザー側の閲覧環境に依存します。font-familyを正しく指定しても、そのフォントがユーザーのパソコンやスマートフォンに入っていなければ、意図したフォントでは表示されず、代替フォントで表示されることになります。

 font-familyは、あらゆる閲覧環境を想定し、できるだけ多くの環境に対応したフォントを指定しておく必要があります。

 次章からは、具体的なfont-familyの指定方法について解説していきます。CSSによる記述例も多く登場しますので、CSSの基本をまだマスターしていない方は、以下の記事も読んでみてください。

font-familyの指定方法

フォントはどこに指定するべきか

 基本的にフォントは、WebサイトやHTMLメール全体に対して一括指定をします。一般的にはbodyタグに対してCSSでフォントを指定します。

/* サイト全体のフォント指定 */
body {
font-family: "MS Pゴシック" ;
}

 デザインによっては、見出しやメニュー部分のフォントだけを変更したい場合があります。そういった場合には、該当するタグに対してCSSでフォントを指定します。

/* h1見出しのフォント指定 */
h1 {
font-family: "メイリオ" ;
}

/* ナビゲーションメニューのフォント指定 */
nav ul li {
font-family: "メイリオ" ;
}

font-familyに指定できる値

 font-familyプロパティには、「フォントファミリー名」か、「総称フォント名」のいづれかを指定します。

1. フォントファミリー名

 「Arial」や「メイリオ」など、欧文フォントや日本語フォントの具体的な名称のことフォントファミリー名と呼びます。

body {
font-family: "Arial", "メイリオ";
}

 font-familyに指定するフォントファミリー名は、【正式な固有名称】で指定する必要があります。同じフォント名でもOSによって固有名称の表記が異なったり、半角・全角・スペース位置などが間違っていても正しく機能しません。

 代表的なフォントの固有名称表記については、記事の後半で詳しくご紹介しています。

2. 総称フォント名

 ゴシック体や明朝体のように、フォントの大きなカテゴリーのことを「総称フォント」と呼びます。font-familyに指定できる代表的な総称フォント名は、以下の6つです。

総称フォント名 フォントカテゴリー 適用フォント例
sans-serif ゴシック体 メイリオ、ヒラギノ角ゴシック、Arial
serif 明朝体 MS P明朝、ヒラギノ明朝、Times
system-ui OSのUIと同じフォント Yu Gothic UI、Meiryo、ヒラギノ角ゴシック、San Francisco
monospace 等幅フォント MSゴシック、MS明朝、Osaka-Mono
cursive 筆記体 Comic Sans MS、Scriptなど
fantasy 装飾系フォント alba、Chickなど
body {
font-family: sans-serif;
}

 総称フォントを指定した場合は、通常はOSやブラウザごとにデフォルト設定されたフォントが自動的に適用されます。

 一般的に、総称フォントには、sans-serif(ゴシック体)か、serif(明朝体)のいづれかを指定しておきます。cursive(筆記体)、fantasy(装飾文字)については、実際には具体的なフォントが割り当てられず、ゴシック体や明朝体で表示されるため実用的ではありません。

プロパティの基本書式

 font-familyプロパティの基本書式と注意点について解説します。

1. フォントファミリー名は引用符で囲う

 フォントファミリー名は、日本語フォント・欧文フォント、またフォント名にスペースを含む・含まずを問わず、ダブルクォーテーション(”)、またはシングルクォーテーション(’)の引用符で囲うことが推奨されています。

 最新の各ブラウザでは引用符で囲わなくとも実際には機能します。しかし、フォントファミリー名と総称フォント名との区別をする目的と、フォント名の区切りをわかりやすくするためにも引用符で囲っておくというルールに決めておく方が良いでしょう。

2. 総称フォント名は引用符で囲わない

 一方で、総称フォント名は引用符では囲わないようにしてください。もし引用符で囲ってしまうと、ブラウザがフォントファミリー名として認識してしまい、総称フォント名として正しく機能しない場合があります。

3. 複数のフォントを指定する場合はカンマ区切り

 フォントファミリー名は複数指定が可能です。各フォントファミリー名をカンマ(,)で区切って記述します。カンマの後のスペースは空けても空けなくてもどちらでも構いません。

※フォントファミリー名に、日本語名(例:メイリオ)と英語名(例:Meiryo)の両方を指定する必要はありません。最新の主要ブラウザは、どちらかを指定しておけば問題なく表示されます。両方表記するという方法は、過去に日本語名のフォントを認識しないブラウザがあった名残です。

4. 前に書いたフォントが優先される

 font-familyに複数のフォントを指定した場合、前に書いたフォントから優先的に適用されます。もしユーザーの端末に、指定したフォントが入っていなければ、次のフォント、また次のフォント…という順番で、ブラウザはフォントを探していきます。

必ず抑えておくべきポイント

 ここからは、フォントを指定する際に必ず抑えておくべきポイントをご紹介します。意図したフォントを表示するための重要なポイントになりますので、しっかり覚えておきましょう。

1. OSごとにフォント名を指定する

 Windows、macOS、iOS(iPhone、iPad)などのOSは、それぞれ標準インストールフォント(初めから入っているフォント)が異なります。そのため、font-familyには、各OS表示用に複数のフォント名を指定しておくことが推奨されています。

Android対応について

 「Androidの表示用フォントは?」と思った方もいると思いますが、現状Android表示用のfont-familyは設定する必要はないと思います。理由は、OSのバージョン、メーカー、機種などによってインストールされている日本語フォントが異なるため、全てのAndroid環境をカバーするには設定が複雑になり過ぎるからです。

 Android表示用のフォントは何も指定せず、それぞれの端末のシステムフォント(デフォルト表示フォント)で表示させる対応で問題ないでしょう。

 Androidのシステムフォントは、日本語フォントはAndroid 6.0以降「Noto Sans CJK」、欧文フォントは、Android 4.0以降「Roboto」が使用されています。それ以前は、日本語フォントは「モトヤフォント」、欧文フォントは「Droid」が使用されていました。

2. 最後に総称フォントを指定する

 指定したフォントが全て表示されなかった場合の対策として、値の最後に総称フォント(ゴシック体や明朝体)を指定しておきます。

 例えば、以下のフォント指定例をご覧ください。

body {
font-family:"MS Pゴシック",sans-serif;
}

 MS Pゴシックと、総称フォント(sans-serif)のみが指定されています。この場合、Windowsは、MS Pゴシックが適用されます。macOSとiOSには、MS Pゴシックは標準インストールされていないので、sans-serifが適用され、ゴシック体フォントが適用されます。

font-familyが無指定だった場合の注意点

 もしfont-familyに何も指定しなかった場合は、OS・ブラウザごとのデフォルトフォントが適用されます。

 大半のブラウザのデフォルトフォントは、ゴシック体ですが、macOSとiOS(iPhone、iPad)の標準ブラウザSafariだけはデフォルトフォントが明朝体になっています。(2022年7月時点調べ)

 ゴシック体と明朝体では、Webサイトの印象は大きく違って来ますので、最低限、総称フォントは指定しておく必要があります。

 また、今後のOSやブラウザのバージョンアップによって、標準インストールフォントや、デフォルトフォントが変更になる可能性もあります。

3. 欧文フォントを指定する場合の注意事項

 以下の例のように、英語部分(半角英数字)に欧文フォント、日本語部分は日本語フォントを指定したい場合があると思います。

 この場合のfont-familyの指定方法は、欧文フォント名を日本語フォント名よりも先に指定することで実現できます。

 日本語フォント名を欧文フォント名より先に指定してしまうと、すべてのテキストが日本語フォントで表示されてしまいますので注意してください。

 すべてのテキストを日本語フォントで表示したい場合には、欧文フォントは指定しないようにしましょう。

欧文フォントと日本語フォントを組み合わせる場合のコツ

 欧文フォントと日本語フォントを組み合わせる場合は、大前提として、セリフ体とゴシック体、サンセリフ体と明朝体のように、欧文フォントと日本語フォントの書体デザインのカテゴリーを揃えることです。

 それを踏まえた上で、重要なポイントが書体の太さをなるべく揃えることです。書体の太さに差があると、どちらかだけが浮き上がって見えてしまい、読者の視線に引っ掛かりが出来てしまいます。読者は文章をスムーズに読み進めることが出来ません。

 「そんなに気にするほどの事ではないのでは…」と思うかもしれませんが、読ませたい文章の量が多ければ多いほど、読者が感じる違和感やストレスは大きくなります。サイトからの途中離脱につながる可能性もありますので注意しましょう。

 極端な例ですが分かりやすい例を以下に掲載しておきます。

フォントの太さを揃えた場合

書体の太さを揃えた文章例

フォントの太さに差がある場合

書体の太さに差がある文章例

代表的なフォントファミリー名

 ここからは各OS(Windows、macOS、iOS)の標準インストールフォント(初めから入っているフォント)の中から、多くのWebサイトで使用されている代表的なフォントファミリー名を紹介していきます。

 それぞれのフォントの表示例と、font-familyに記述すべき固有名称も合わせて記載しておきます。フォントを選定する際の参考にしてみてください。

ゴシック体

MSゴシック

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
MS Gothic、MS ゴシック
フォント表示プレビュー
Windows/Chrome表示
MSゴシック書体見本

MS Pゴシック

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
MS PGothic、MS Pゴシック
フォント表示プレビュー
Windows/Chrome表示
MSPゴシック書体見本

メイリオ

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Meiryo、メイリオ

※macOSは標準インストールではなく、Officeをインストールしている場合に自動的にインストールされます。

フォント表示プレビュー
Windows/Chrome表示
メイリオ書体見本
macOS/Chrome表示
メイリオ書体見本

※macOS Mojave10.14.**環境のSafariブラウザでフォントが表示されないバグ有り。

Meiryo UI

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Meiryo UI

※macOSは標準インストールではなく、Officeをインストールしている場合に自動的にインストールされます。

フォント表示プレビュー
Windows/Chrome表示
メイリオUI書体見本
macOS/Chrome表示
メイリオUI書体見本

※UIフォントとは、表示幅を狭く設計したフォントです。UIのファイル名やメニュー名の表示用によく使用されています。

游ゴシック

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Yu Gothic、游ゴシック
YuGothic、游ゴシック体

※Windows8.1以降 標準インストール

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Windows/Chrome表示
游ゴシック書体見本
macOS/Chrome表示
游ゴシック書体見本

※Windows環境では、文字が細くかすれて見える場合があります。font-weightプロパティを500に設定することで読み易く調整できます。ただし、游ゴシックに続けて指定するフォントは、font-weight:500で太字にならないものを指定する必要があります。

※@font-faceを使って、フォントを再定義する方法も良く紹介されていますが、今後のブラウザバージョンアップによって@font-faceに関する仕様が変更される場合も考えられます。完璧な方法ではないことを理解した上で実装してください。

YU Gothic UI

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Yu Gothic UI

※Windows10以降 標準インストール

フォント表示プレビュー
Windows/Chrome表示
Yu Gothic UI書体見本

ヒラギノ角ゴシック(Hiragino Sans)

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Hiragino Sans、ヒラギノ角ゴシック

※末尾にW0〜W9を付加して太さ指定可能。指定無しの場合、h1-h6タグはW7相当、Pタグ等はW4が自動設定されます。

フォント表示プレビュー
macOS/Chrome表示
Hiragino Sans書体見本

※ヒラギノ角ゴシック(Hiragino Sans)と、ヒラギノ角ゴシックProN(Hiragino Kaku Gothic ProN)」は、字形自体は同じです。ヒラギノ角ゴシック(Hiragino Sans)の方がフォントフェイスのバリエーションが多い新しく設計されたフォントです。

ヒラギノ角ゴシック ProN(Pro)

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Hiragino Kaku Gothic ProN、ヒラギノ角ゴ ProN、Hiragino Kaku Gothic Pro、ヒラギノ角ゴ Pro

※末尾にW3/W6を付加して太さ指定可能。指定無しの場合、h1-h6タグはW6相当、Pタグ等はW3が自動設定されます。
※ProNとProの違いは、ProNがいくつかの漢字が旧字体、Proは略字体。

フォント表示プレビュー
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ヒラギノ角ゴシック ProN書体見本

macOS Catalina以降では、font-familyに「Hiragino Kaku Gothic ProN(Pro)」を指定しても、正しくフォントが表示されない問題があります。Hiragino Kaku Gothic Pro(ProN)は、macOS High Sierra以降、すでに書類をサポートするために使える古いフォントのリストに指定されており、今後使用できなくなる可能性も考えられます。代替フォントとして「Hiragino Sans」も指定しておくと安心です。

ヒラギノ丸ゴシック ProN(Pro)

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Hiragino Maru Gothic ProN W4、ヒラギノ丸ゴ ProN W4
※Hiragino Maru Gothic Pro W4、ヒラギノ丸ゴ Pro W4

※末尾にW3/W6を付加して太さ指定可能。指定無しの場合、h1-h6タグはW6相当、Pタグ等はW3が自動設定されます。
※ProNとProの違いは、ProNがいくつかの漢字が旧字体、Proは略字体。
Nの付かないProフォントは、既に書類をサポートするために使える古いフォントのリストに入っています。

フォント表示プレビュー
macOS/Chrome表示
ヒラギノ丸ゴシックProN書体見本

Osaka

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Osaka

※Osaka-Monoで等幅フォント(すべての文字の幅が同じ幅のフォント)を指定することも可能です。

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macOS/Chrome表示
Osaka書体見本

※Osakaは、表示幅を狭く設計したUIフォントです。旧Mac OSにおいて、UIのファイル名やメニュー名の表示用に使用されていました。

明朝体

MS 明朝

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
MS Mincho、MS 明朝
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Windows/Chrome表示
MS 明朝書体見本

MS P明朝

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
MS PMincho、MS P明朝
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MS P明朝書体見本

游明朝

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Yu Mincho、游明朝
YuMincho、游明朝体

※Windows8.1以降 標準インストール

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游明朝書体見本
macOS/Chrome表示
游明朝書体見本

※Windows環境では、文字が細くかすれて見える場合があります。font-weightプロパティを500に設定することで読み易く調整できます。ただし、游明朝に続けて指定するフォントは、font-weight:500で太字にならないものを指定する必要があります。

※@font-faceを使って、フォントを再定義する方法も良く紹介されていますが、今後のブラウザバージョンアップによって@font-faceに関する仕様が変更される場合も考えられます。完璧な方法ではないことを理解した上で実装してください。

ヒラギノ明朝 ProN(Pro)

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Hiragino Mincho ProN、ヒラギノ明朝 ProN
Hiragino Mincho Pro、ヒラギノ明朝 Pro

※末尾にW3/W6を付加して太さ指定可能。指定無しの場合、h1-h6タグはW6相当、Pタグ等はW3が自動設定されます。 ※ProNとProの違いは、ProNがいくつかの漢字が旧字体、Proは略字体。
※Nの付かないProフォントは、既に書類をサポートするために使える古いフォントのリストに入っています。

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ヒラギノ明朝ProN書体見本

欧文フォント

Arial

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Arial
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Arial書体見本
macOS/Chrome表示
Arial書体見本

Arial Black

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Arial
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Arial Black書体見本
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Arial Black書体見本

Helvetica

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Helvetica
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Helvetica書体見本

Helvetica Neue

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Helvetica Neue
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Helvetica_Neue書体見本

※Helvetica Neueは、Helveticaを基に、読みやすさを向上させる目的で字幅や文字間などの設計を見直した改良版フォントです。Helveticaに比べて多くのフォントフェイスを持ちます。

Segoe UI

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Segoe UI
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Windows/Chrome表示
Segoe UI書体見本

Verdana

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Verdana
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Verdana書体見本
macOS/Chrome表示
Verdana書体見本

San Francisco

San Franciscoは、Mac、iPhone、iPad、Apple Watch等で使用されているシステムフォントです。San Franciscoを指定する場合は、少し特殊なfont-familyの記述になります。

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
-apple-system, BlinkMacSystemFont

※「-apple-system」はSafari用、「BlinkMacSystemFont」がChrome用の記述です。カンマ区切りで2つとも記述しておきましょう。
※-apple-system, BlinkMacSystemFontは、フォント名ではなく、システムフォントを指定するための記述です。総称フォントsystem-uiと同義だと考えてください。ダブルクォーテーション(”)やシングルクォーテーション(’)の引用符では囲わないようにしましょう。

フォント表示プレビュー
macOS/Chrome表示
San Francisco書体見本

-apple-systemの問題点

 iOS11以降、-apple-system(Safari用)を指定した場合、欧文フォントだけでなく、日本語フォントにもシステムフォントのヒラギノ角ゴシックが指定されるようになりました。要するに、英語部分だけにSan Franciscoを使いたい場合の指定ができなくなりました。(BlinkMacSystemFontは、欧文だけに適用されます。)

 また、-apple-systemで出力されるヒラギノ角ゴシックは、少し小さなフォントサイズで出力されるというブラウザ仕様になっており、意図した表示の制御も難しくなっています。今後、ブラウザアップデートによって改善される可能性はありますが、現状-apple-systemによるフォントの指定はあまりお勧めできません。

 どうしてもSan Franciscoを使いたい場合は、-apple-systemは指定せず、system-uiのみを指定する方が良いでしょう。ただし、Windowsもシステムフォントで表示されます。現実的には、San Franciscoに似た代替の欧文フォントと、日本語フォントにヒラギノ角ゴシックを指定する方法をお勧めします。

Times New Roman

標準インストールOS font-family記述用の固有名称
Times New Roman
フォント表示プレビュー
Windows/Chrome表示
Times New Roman書体見本
macOS/Chrome表示
Times New Roman書体見本

※各OS標準インストールフォントについては、著者の独自調査の部分もありますため、調査時期やOSアップデートなどの影響により、内容が異なる場合があります。

各OSの標準インストールフォント
 MicrosoftとAppleの公式情報を掲載しておきます。font-familyに指定するフォントと、表示をサポートするOSが決まったら、以下のリンク先で、フォントがインストールされているかの最終確認をしましょう。

・Windows11

・Windows10

・Windows8.1

・Windows7

・macOS Ventura

・macOS Monterey

・macOS Big Sur

・macOS Catalina

・macOS Mojave

・iOS

※iOSの標準インストールフォントについては、Appleのデベロッパーサイトに公式情報が記載されています。Platform/Typeの欄に[歯車アイコン]が付いてものがシステムフォントになります。

※Androidの標準インストールフォントについては、公式情報を見つけることができませんでした。Androidについては、端末のメーカーによってもインストールされているフォントが異なる場合があります。

おすすめのfont-family設定例

 ここまでの解説を基に、おすすめのfont-family設定を「ゴシック体」「明朝体」「HTMLメール用」の3つタイプでご紹介します。Windows、macOS、iOSの多くの端末で問題なく表示されるようにスタンダードな設定にしてあります。

 必ずしもご紹介するfont-family設定が正解という訳ではありません。フォントを入れ替えたり追加して、最適なfont-family設定にカスタマイズしてみてください。

ゴシック体の設定例

Winの欧文フォント Arial
Winの日本語フォント 游ゴシック(代替フォント:メイリオ)
macOSの欧文フォント Helvetica Neue(代替フォント:Helvetica)
macOSの日本語フォント Hiragino Sans(代替フォント:Hiragino Kaku Gothic ProN)
iOSの欧文フォント Helvetica Neue(代替フォント:Helvetica)
iOSの日本語フォント Hiragino Sans(代替フォント:Hiragino Kaku Gothic ProN)
総称フォント sans-serif(ゴシック体)
font-family: "Helvetica Neue", "Helvetica", "Hiragino Sans", "Hiragino Kaku Gothic ProN", "Arial", "Yu Gothic", "Meiryo", sans-serif;

明朝体の設定例

Winの欧文フォント Times New Roman
Winの日本語フォント 游明朝(代替フォント:MS P明朝)
macOSの欧文フォント Times New Roman
macOSの日本語フォント 游明朝体(代替フォント:Hiragino Mincho ProN)
iOSの欧文フォント Times New Roman
iOSの日本語フォント Hiragino Mincho ProN
総称フォント serif(明朝体)
font-family: "Times New Roman", "YuMincho", "Hiragino Mincho ProN", "Yu Mincho", "MS PMincho", serif;

HTMLメール用の設定例

 HTMLメールの場合も、各OS・端末に入っているフォントが利用されますが、一部のメーラーやWebメールなどでは、メールクライアントのデフォルトフォントが優先表示される場合もあります。

 HTMLメールは、Webサイトに比べると横幅が狭いため、限られたスペースに文字を入れる必要があります。文字幅の狭いUIフォントや、文字間を自動調整してくれるプロポーショナルフォントを使用するとスペースを有効に使うことができるでしょう。

Winの欧文フォント 未設定(日本語フォントで表示)
Winの日本語フォント Meiryo UI(代替フォント:Yu Gothic UI、MS Pゴシック)
macOSの欧文フォント 未設定(日本語フォントで表示)
macOSの日本語フォント Hiragino Sans(代替フォント:Hiragino Kaku Gothic ProN)
iOSの欧文フォント 未設定(日本語フォントで表示)
iOSの日本語フォント Hiragino Sans(代替フォント:Hiragino Kaku Gothic ProN)
総称フォント sans-serif(ゴシック体)
font-family: "Meiryo UI", "Hiragino Sans", "Yu Gothic UI", "MS PGothic", "Hiragino Kaku Gothic ProN", sans-serif;

CSSセレクタを指定する際のポイント

 Webサイトに比べて、より多くの閲覧環境が存在するHTMLメールにおいて、意図したフォントを確実に表示するには、font-familyプロパティの優先度がなるべく高くなるように、CSSセレクタの指定方法を工夫すると良いでしょう。

 テーブルレイアウトでHTMLメールを作成している場合は、BODYタグではなくTDタグに対してfont-familyを設定したり、 !Important指定を付加してCSS優先度を上げておきましょう。

td {
font-family: "Meiryo UI", "Hiragino Sans", "Hiragino Kaku Gothic ProN",
"Yu Gothic UI", "MS PGothic", sans-serif !Important;
}

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Webフォントの利用について
 本記事では、ユーザーの端末に標準インストールされたフォントを指定する方法を解説して来ましたが、ユーザーの環境に依存せず、制作側の意図したフォントでWebサイトを表示する方法として「Webフォント」を利用する方法もあります。Webフォントはデザイン性の高いフォントで、Webサイトの見た目を統一することができます。

 しかしながら、Webフォントは、日本では未だに広くは普及していないのが現状です。その理由は、日本語はアルファベットに比べて文字数が遥かに多いため、Webフォントのファイル容量が膨大になるためです。Webサイトの表示速度を低下させる原因になるため、SEOの観点からも、Webフォントの使用を避ける企業が多いと推測されます。

 欧文フォントのWebフォントのみを使用するのであれば、それほど気にする必要はありませんが、日本語のWebフォントを使用する場合には、Webフォントの読み込み設定を最適化(読み込み方や、必要なウェイトだけ読み込むなど)して、少しでも早くWebサイトが表示されるようなテクニックが必要になります。

デバイスにインストールされているフォントを調べてみよう

 font-familyの理解を深めるために、自分のPCやスマートフォンなどのデバイスに入っている標準インストールフォントを調べて、font-familyに設定してみましょう。font-familyに設定するべき固有名称を調べたり、フォントフェイス(太さやスタイル)のバリエーションを確認する際にも役立ちます。

Windowsの場合

Windows10の場合

[設定] > [個人用設定] > [フォント]から、インストールされているフォントを確認できます。

font-familyに設定するフォントファミリーの固有名称は、「完全名」を参照してください。

Windows10以前のOS場合

[ローカルディスク(C:)] > [Windows] > [Fonts] から、インストールされているフォントを確認できます。

font-familyに設定するフォントファミリーの固有名称は、初期設定では表示されていません。以下の手順でフォントファミリー名を表示します。

[表示手順] 1. 表示方法を[詳細]に変更する。 2. 項目名を右クリックして、[ファミリ]にチェックする。

macOSの場合

[アプリケーション] – [Font Book]から、インストールされているフォントを確認できます。

font-familyに設定するフォントファミリーの固有名称は、「PostScript名」や「正式名称」を参照してください。

iOSの場合

iOSの場合、[設定]-[一般]-[フォント]から、追加でインストールしたフォントを確認することができますが、標準インストールされたフォントは確認できません。

少しイレギュラーな方法ですが、メールアプリの[デフォルトのフォント]を変更する画面から、標準インストールフォントを確認することができます。

まとめ

 以上、font-familyの設定方法について解説してきました。前述した通り、ブラウザに表示されるフォントは、ユーザー側の環境に依存しますが、今回ご紹介した方法で、正しくfont-familyを指定していただければ、多くの環境で意図したフォントを表示させることができるはずです。

重要なポイントのおさらい
・フォントは正式な固有名称で指定する
・前に書いたフォントが優先適用される
・OSごとに複数のフォントを指定する
・総称フォントを最後に必ず指定する
・欧文フォントは日本語フォントより前に書く
・欧文フォントと日本語フォントの太さを揃える

 また、font-familyの設定と合わせて、フォントサイズ、行間、文字間、文字色などのスタイルも上手く組み合わせてみてください。皆さまのWebサイトやHTMLメールの読みやすさをさらに向上させることができるはずです。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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